【新型ウイルス】イルカとクジラを脅かすモルビリウイルスとは?
クジラモルビリウイルス(CeMV)は、モノネガウイルス目パラミクソウイルス科パラミクソウイルス亜科モルビリウイルス属に属する最近記載された一本鎖RNAウイルスで、3つの株が確認されています。(麻疹ウイルスも同じモルビリウイルス属に属しています。)
主な症状は肺炎、脳炎、免疫抑制に関連するリンパ球の減少等が挙げられます。
感染経路としては水平感染と垂直感染の2パターンが考えられています。
水平感染
感染した個体が排出したウイルスを含むエアロゾルを吸入することで起こることがほとんどだと考えられています。
この水平感染は群れをなした行動や高密度のクジラ目動物によって起こりやすくなると考えられています。また、呼気孔から出た飛沫を吸入することでの感染は、密集した多数のクジラ目動物が一緒に移動したり餌を食べたり、呼吸を行う際に起こる可能性があります。
垂直感染
1990年に地中海でのスジイルカの乳腺からモルビリウイルスの抗原が検出されたこと、2007年にバレアレス諸島で座礁したDMVに感染したヒレナガゴンドウの7か月胎児の脳、肺、脾臓、リンパ節、肝臓からモルビリウイルスRNAが検出されたことなどからCeMVに感染した雌が子宮内で胎児や授乳中の新生児にそれぞれ感染を伝染させる可能性があることを示唆しています
血清学的検査にはウイルス中和(VN)試験、プラーク減少法、間接ELISA(iELISA)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応が挙げられます。
参考:Cetacean Morbillivirus: Current Knowledge andFuture DirectionsMarie-Françoise Van Bressem 1,*, Pádraig J. Duignan 2, Ashley Banyard 3 Michelle Barbieri 4,Kathleen M Colegrove 5, Sylvain De Guise 6, Giovanni Di Guardo 7, Andrew Dobson 8,Mariano Domingo 9, Deborah Fauquier 10, Antonio Fernandez 11, Tracey Goldstein 12,Bryan Grenfell 8,13, Kátia R. Groch 14,15, Frances Gulland 4,16, Brenda A Jensen 17,Paul D Jepson 18, Ailsa Hall 19, Thijs Kuiken 20, Sandro Mazzariol 21, Sinead E Morris 8,Ole Nielsen 22, Juan A Raga 23, Teresa K Rowles 10, Jeremy Saliki 24, Eva Sierra 11,Nahiid Stephens 25, Brett Stone 26, Ikuko Tomo 27, Jianning Wang 28, Thomas Waltzek 29 andJames FX Wellehan 30
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