ELISAにおける緩衝液について

緩衝液(Buffer solution)とは

酸・塩基の添加や溶液の希釈、温度変化などの外的要因によって生じるpH(水素イオン濃度)の変化を和らげる作用(緩衝作用)を有する溶液のことをいいます。
 
生体内では炭酸-炭酸水素塩やリン酸塩、アミノ酸などの緩衝作用によってpHの恒常性が保たれており、生体内の化学反応や生体物質は溶液のpHによって大きく影響を受けます。実験・検査における化学反応においてもpHをコントロールすることは非常に重要となります。
 

【ELISAで使用する主なバッファー】

・コーティングバッファー

プレートを抗体あるいは抗原でコーティング(固相)する際に用いるバッファーです。
タンパク質の生物学的活性や安定性を保つ必要があり、使用するバッファーが結合を邪魔してはいけません。
 

タンパク質の固相化
プレートに用いるポリスチレンのゼータ電位がアルカリ側のpHで正の電荷を持つため、
プレートへの結合はアルカリ性のバッファーの使用が一般的です。
(炭酸-重炭酸バッファー(CBB)pH9.5~9.6が用いられる事が多い)

 

・ブロッキングバッファー

検出抗体がELISAプレートに非特異的に吸着することを防ぐ目的で使用します。
コーティング処理(固相)をしたプレート上に存在する抗体や抗原の隙間への吸着を抑えるため、最適な濃度の非イオン界面活性剤や不活性な非特異的タンパク質を使用します。
 

1~5% スキムミルク
1~2%カゼイン
2%前後BSAが一般的に使用されます

 

・洗浄バッファー

バックグラウンドノイズを低減させつつ、抗原抗体複合体を安定的に保てるよう、最適な塩濃度、界面活性剤濃度、pHのものを使用します。
 

トリス緩衝食塩水(TBS)やリン酸緩衝生理食塩水(PBS)にTween-20を添加したものを
使用することが一般的です。
(界面活性剤をバッファーへ添加することにより非特異的結合した物質の除去を促進させる)

 
検査系に適した緩衝液を使用することにより、バックグラウンドを下げ、感度・再現性の向上に結び付けることができます。今一度お使いの緩衝液に目を向けてみてはいかがでしょうか?
 
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