アスベスト分析方法(JIS A 1481-1)について解説
アスベストの分析方法には、含有の有無を調べる(定性分析)JIS A 1481-1、JIS A 1481-2と含有率を調べる(定量分析)JIS A 1481-3、JIS A 1481-4、JIS A 1481-5があります。
今回はJIS A1481-1について理解していきたいと思います。JIS A1481-1は国際規格ISO22262-1に基づいており、層が複数存在する建材について層別に含有の有無を判定することができます。
分析方法はまず肉眼で全体を観察し、色や材質を記録します。建材の種類や必要に応じて灰化、酸処理、沈殿性および浮遊性によりアスベスト以外の成分を除去します。
灰化: 485℃で10時間加熱することで、有機繊維を取り除くことができます。
酸処理: 試料を2mol/Lの塩酸中で攪拌することで多くの成分を除去することできます。
沈殿性および浮遊性: 水中で沈降や浮遊により除去することができます。
また、これらの方法を組み合わせて行うこともできます。
続いて実体顕微鏡により試料全体を観察し、素材の種類や繊維の有無を確認します。試料が不均一であった場合や層をなしていた場合は、どの部分・層からアスベストが検出されたか分かるようにしておきます。
次にスライドグラス上にアスベストの種類に応じた適切な浸液を滴下し、実体顕微鏡で検出された繊維を浸液に浸し、カバーガラスをかぶせて偏光顕微鏡用の標本とします。実体顕微鏡で繊維が検出されなかった場合や、調べた繊維がアスベストでなかった場合は無作為に試料の一部を分取して偏光顕微鏡で分析します。アスベストが含有していた場合はアスベストの種類の同定を形態、色・多色性、複屈折、消光特性、伸長の符号、屈折率から判断します。
次回、アスベストを判定する際の形態、色・多色性、複屈折、消光特性、伸長の符号、屈折率について掘り下げてみたいと思います。
参考
JIS 建材製品中のアスベスト含有率測定方法- 第 1 部:市販バルク材からの試料採取 及び定性的判定方法 JIS A 1481-1:2016 (ISO 22262-1:2012) (2020 確認
石綿則に基づく事前調査の アスベスト分析マニュアル 【第2版】厚生労働省
弊社ではJIS A 1481-1に準拠したアスベスト分析を行っております。
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