「におい」の嗅ぎ分けについて解説!

ヒトの「におい」の嗅ぎ分けについて、どのくらい嗅ぎ分けることができるのかご存知でしょうか?
今回は「におい」の嗅ぎ分けについて解説します。
 

「におい」の嗅ぎ分けについて

ヒトは数十万種類ものにおい分子を嗅ぎ分けることができると言われています。におい分子は、僅かな形状の違いを持ち、その違いを臭細胞先端で運動性のある臭繊毛で識別しています。そのため臭繊毛にあるにおい識別センサーを嗅覚受容体と呼んでいます。ヒトは、におい分子と約400種類の嗅覚受容体の組み合わせにより、様々なにおいの識別を行っています。におい分子は低濃度で多成分の分子の集まりであり、それぞれ形が異なっています。におい分子の形と嗅覚受容体の穴の形が一致した時に私たちはにおいを感じることができます(図1)。
 
におい認識のメカニズム
図1 におい認識のメカニズム
 
それぞれ形の異なる穴をもつ嗅覚受容体とにおい分子が一致するとにおいを感じることができます。
 
図1では、におい分子が単体の例を示しましたが、このメカニズムのみではヒトは約400種類のにおい分子しか認識することができません。ヒトは複数のにおい分子が混在した場合に他のにおいとして認識する能力を持っています。(図2)。
 
レモンとオレンジのにおいが混在した場合のにおい識別例
図2 レモンとオレンジのにおいが混在した場合のにおい識別例
 
レモンのにおい分子はレモンの嗅覚受容体A及びBと一致し、レモンのにおいと認識されます。一方、オレンジのにおい分子は嗅覚受容体A及びCと一致し、オレンジのにおいと認識されます。レモンとオレンジのにおい分子が混在した場合には、嗅覚受容体A, B及びCと一致し、レモンでもオレンジでもないソーダのにおいとして認識され、においの識別が行われます。
 
参考文献
1) 悪臭について 第1回においに関する基礎知識(公益財団法人におい・かおり環境協会(令和3年5月))においに関する基礎知識.pdf
2) 東原和成: かぐわしき、この世界~匂いをコントロールし、みんなが心地よい環境をデザインする~、科学技術振興機構「サイエンスポータル」(2020)
 
 

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