血漿(けっしょう)中の蛋白質について

血漿タンパクは豚の飼養においてよく聞かれますが、実際どのようなものかをご存じない方も多いのではないでしょうか。
今回は、血漿タンパクとは何なのかをご紹介いたします。
 
血液は、有形成分である血球と無形成分である血漿に分けられます。
私たちヒトの場合、およそ45%が血球で、55%が血漿です。また、ヒトの場合、血漿のうち8%が蛋白質で、血液全体のうち0.04%が該当します。
 
血漿をセルロースアセテート膜電気泳動にかけると、いくつかのバンドに分かれます。
それらのバンドを波形にして表すと、陽極側から
①アルブミン分画
②グロブリン分画
(1)α分画
(2)β分画
(3)γ分画
に分かれます。
 
各分画にある物質について見ていきます。
 
①アルブミン分画

  • アルブミン
  • 血管内の浸透圧を高めて水分を保持し、血液を正常に循環させます。
    また、様々な物質と結合し、目的部位まで運搬します。
     
    ②グロブリン分画
    (1)α分画

  • α1アンチトリプシン
  • 蛋白質分解酵素を阻害します。
     

  • α1酸性糖蛋白
  • 塩基性または中性の疎水性化合物のキャリアとして機能します。
     

  • α2マクログロブリン
  • 蛋白質分解酵素を阻害します。
    血液中の変性蛋白質を細胞内に運び、分解するはたらきもあります。
     

  • ハプトグロブリン
  • 溶血が起こった際に血液中に遊離したヘモグロビンと特異的に結合し、その毒性を中和します。
     

  • セルロプラスミン
  • 銅の運搬・代謝に関与します。血中の主要な抗酸化物質としても機能します。
     

  • 高密度リポ蛋白
  • 体内の余分なコレステロールや、血管内に蓄積したコレステロールを回収し、肝臓に運搬します。
     
    (2)β分画

  • トランスフェリン
  • 腸管から吸収された鉄や組織から放出された鉄と結合して血中を運搬し、造血細胞に引き渡します。
     

  • 低密度リポ蛋白
  • 肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に運搬します。
     

  • 超低密度リポ蛋白
  • 肝臓で合成された脂質を末梢組織に運搬します。
     

  • 補体
  • 約20種の血清蛋白群でC1~C9まで9つの主成分があり、通常は活性のない状態で体内を循環しますが、様々なきっかけにより活性化します。
    主なはたらきとして、血管の拡張、白血球動員、オプソニン化、細胞障害があります。
     

  • フィブリノーゲン
  • 代表的な血液凝固因子です。
     

  • ヘモペキシン
  • 血漿中の遊離ヘムと結合し、肝臓へ運搬します。
     

  • CRP
  • 急性相反物質の一つで、炎症の程度を判断する指標として利用されます。
     
    (3)免疫グロブリン(抗体)

  • 病原体の抗原と結合し、抗原抗体反応を起こして生体を守ります。
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    弊社では畜産の血液検査や抗体検査を実施しておりますので、お気軽にお問合せください。
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