百日咳について|症状や感染経路、予防方法などを解説します
子どもが感染すると重症化の恐れもある「百日咳」の感染者の報告が、1週間(4月28日~5月4日)で1746件、累計では1万4267件となり、高い水準での感染拡大が続いています。
目次
《1医療機関あたりの感染者数(全国)(2025年4月28日~5月4日)》
百日咳とは
百日咳菌(Bordetella pertussis) の感染によって引き起こされる、けいれん性の激しい発作を特徴とする急性の気道感染症です。患者の多くは乳幼児や小児で、1歳以下の乳児が感染すると肺炎、脳症などを合併して重症化し、まれに死に至ることもあります。
症状
感染後5~10日の潜伏期間を経て、症状が出現してきます。経過は3つの期間に分けられ、回復まで2~3ヶ月を要するとされています。
1.「カタル期」
かぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなっていきます。この時期はかぜとの判別が難しいですが、感染力が最も強いのがカタル期です。
2.「痙咳期(けいがいき)」
突発性けいれん性の咳が認められます。短い咳が連続的に起こった後、息を吸うときに笛のような「ヒュー」という音が鳴る症状を特徴とします。乳児期早期には特徴的な咳がなく、無呼吸発作を発症し、チアノーゼ(体内の酸素不足により体の表面が青紫色に変色すること)、けいれん、呼吸停止と進展することがあります。
3.「回復期」
激しい発作は次第に減衰し、2~3週間で認められなくなります。
感染経路
鼻咽頭や気道からの分泌物による飛沫感染や、接触感染とされています。
治療
生後6ヶ月以上は抗菌薬による治療が検討され、特にカタル期で有効とされています。激しい咳に対しては咳止め等の対症療法が行われます。
予防
5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)等の接種が有効です。予防接種によって罹患のリスクを80~85%程度減らすことができます。乳児期にワクチンの定期接種を速やかに行う必要がありますが、ワクチンの免疫効果は4~12年で弱まってしまうため追加接種が推奨されています。
石けんによる手洗いやアルコール消毒、マスクの着用などの基本的な感染症対策も感染予防として有効です。
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参考ページ
>>国立感染症研究所 百日咳とは
>>群馬県 百日咳
>>国立健康危機管理研究機構 百日咳