エドワジエラ症(ヒラメ)とは?主な症状は?
ヒラメにおけるエドワジエラ症は腸内細菌科のグラム陰性で運動性通性嫌気性の短桿菌であるEdwardsiella .anguillarum (エドワジエラ アングイラルム) 及びE.psicicida (エドワジエラ ピシシダ)によって引き起こされる疾病です。
かつてはE.tarda (エドワジエラ タルダ)として総称されていたが、近年分類されてヒラメから分離されたエドワジエラがE.psicicida であり、マダイから分離されたエドワジエラがE.anguillarum とされています。
主な症状としては腹部充満、脱腸、出血性腹水の貯留があり、病原菌は腸管や鼻腔を経由して感染し、宿主魚の食細胞中で生存・増殖し、症状を引き起こします。また、高水温期に頻発します。
これらの特徴的な症状によって推定診断が可能となっています。確定診断としては病変部からの分離菌の検査やPCR検査によって行われます。
E.psicicida の病原性メカニズムは以下の通りになっています。
病原体は宿主に付着するためにイソバシンや鞭毛タンパク質、線毛タンパク質などの付着因子を使用します。
また、ストレスへの耐性として、カタラーゼなどのタンパク質を発現し、酸化ストレスへの耐性やマクロファージ内での生存を可能にすることで、宿主防御への抵抗性をもつため、感染を拡大させやすいのが特徴です。
また、E.anguillarum 及び E.psicicida の特徴として以下のようになっています。
E.anguillarum はL-アラビノースおよびD-マンニトールを発酵したが、E.piscicida は発酵しなかった。さらに、メチオニンおよび硫酸鉄を含まない規定培地では、E.piscicida 及びE. anguillarum の生育が抑制された。フェニルアラニン、チロシン、アラニン、ニコチン酸を含まない規定培地ではE. piscicida の生育が抑制されたのに対し、セリン、システイン、ロイシン、スレオニン、イソロイシンを含まない規定培地ではE. anguillarum の生育が抑制された。ヒラメ血清ではチロシンとアラニンが高濃度で存在し、マダイ血清ではスレオニンとイソロイシンが高濃度で存在するため、E.piscicida 及び E.anguillarum にとって生育に適した条件が整っていると考えられています。