栄養機能食品とは|機能性表示食品や特定保健用食品との違いは?
「最近、食事が偏りがちだな」「ビタミンが足りているか心配」――。
忙しい現代の生活では、毎日の食事だけで身体に必要な栄養素をすべて過不足なく摂取するのはなかなか難しいものです。
そうした現代人の「栄養の穴」を埋めるために活躍するのが、「栄養機能食品」です。
これらはサプリメントやウエハース、バータイプ食品、飲料など様々な形で私たちの身近に存在していますが、具体的にどのような基準で製造され、どのように活用すべきなのでしょうか?
こちらのコラムでは、栄養機能食品の定義と特徴、特定保健用食品や機能性表示食品との違い、栄養機能食品の役割やメリットなどについて解説します。
目次
栄養機能食品の定義

栄養機能食品とは、保健機能食品のひとつです。
保健機能食品とは、国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従って食品の機能が表示されている食品(消費者庁)のことです。
栄養機能食品は、特定の栄養成分(ビタミン・ミネラルなど)の補給を目的とした食品で、その栄養成分が持つ機能を表示するものをいいます。
日常の食事で特定の栄養素が不足しがちな場合に、その補給・補完を目的として利用されます。
特徴① 国の規格基準を満たす必要
栄養機能食品として認められるためには、国が定めた規格基準を満たす必要があります。
栄養機能食品として販売するためには、その製品の一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が、国が定めた上・下限値の範囲内である必要があるほか、定められた当該栄養成分の機能や注意喚起等(※特徴3で詳しく解説)を表示する必要があります。
これは、特定の栄養素を過剰に摂りすぎることなく、補給・保管の目的が達成できる適正な量が製品に含まれていることを保証するためです。
特徴② 国の個別審査・許可は不要(自己認証制度)
特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品とは異なり、栄養機能食品は国の個別の審査や許可は必要ありません。
製造・販売を行う事業者が、前述の国の規格基準を満たしていることを自己認証すれば、販売が可能です。
この簡便な制度により、多くのメーカーから様々な種類の栄養機能食品が提供されています。
特徴③ 栄養成分の機能表示や注意喚起などの表示が必要

栄養機能食品として販売するためには、パッケージに以下の内容を表示する必要があります。
栄養機能食品である旨及び当該栄養成分の名称
例)
商品名:〇〇〇
栄養機能食品(例:カルシウム)
栄養成分の量及び熱量
例)
栄養成分表示:2粒当たり
エネルギー〇〇kcal たんぱく質▲g 脂質□g
炭水化物◆g 食塩相当量△g カルシウム●mg
定められた栄養成分の機能
栄養素ごとに、記載するべき「栄養成分の機能」の文言が定められています。
例)
カルシウム:カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。
葉酸 :葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素です。
葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。
1日あたりの摂取目安量
例)
1日当たり2粒を目安にお召し上がりください。
摂取方法
例)
水またはお湯でお召し上がりください。
摂取する上での注意事項
記載するべき文言が定められています。
「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。
一日の摂取目安量を守ってください。」
消費者庁長官の個別の審査を受けたものではない旨
記載するべき文言が定められています。
「本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」
栄養素等表示基準値に占める割合
※1⽇当たりの摂取⽬安量に含まれる栄養成分の量が、当該栄養成分の1⽇に必要な⽬安量に対して、どのくらいの割合を占めるか
例)
栄養素等表⽰基準値(2025)(18歳以上、基準熱量2,200kcal)に占める割合︓カルシウム 〇%
バランスのとれた食生活の普及啓発を図る文言
記載するべき文言が定められています。
「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」
参考:栄養機能食品の表示について(公益財団法人 日本健康・栄養食品協会)
栄養機能食品の対象となる栄養成分
栄養機能食品の対象となる栄養成分は、国によって指定されています。
現在、主に表示が認められている成分は以下の通りです。
| 脂肪酸(1種類) | n-3系脂肪酸 |
|---|---|
| ミネラル(6種類) | 亜鉛、カリウム(※)、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム |
| ビタミン(13種類) | ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸 |
※錠剤、カプセル剤等の形状の加工食品を除く。
特定保健用食品や機能性表示食品との違いは?

栄養機能食品は、国の定めた基準を満たせば届出や国の審査なしに、ビタミン・ミネラルなど特定の栄養成分の機能を表示できます。
一方で、特定保健用食品(トクホ)は、からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品です。
販売には、食品の有効性や安全性について国の審査を受ける必要があり、許可を得る必要があります。
また、機能性表示食品、は事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。
国の審査を受ける必要はありませんが、販売前に安全性や機能性の根拠となるデータを消費者庁に届け出る必要があります。
(消費者庁より)
栄養機能食品の役割とメリットの再確認

栄養機能食品は、手軽な栄養補給手段として非常に便利ですが、あくまで「食品」であり、病気を治すための「医薬品」ではありません。
利用する上で大切なのは、「栄養機能食品」の役割やメリットを正しく理解することです。
栄養機能食品は、いつもの食事を基本とした上で、不足しがちな栄養素を「補給・補完」するためのものです。
食事をおろそかにして、サプリメントだけで済ませようとするのは本末転倒です。
パッケージに記載されている「1日あたりの摂取目安量」を必ず守り、日々の食事のサポート役として活用することで、食事だけではどうしても不足しがちな栄養素を手軽に摂取できるというメリットがあります。
栄養成分分析は食環境衛生研究所へ
食環境衛生研究所では、公定法および近赤外線分光法 (簡易法) での栄養成分分析を行っております。
受託分析をご希望のお客様、分析方法で迷われるお客様はお気軽にご相談ください。
関連コラム