ポジティブリスト制度、いよいよスタート

平成18年5月29日月曜日に「食品衛生法等の一部を改正する法律」により、いわゆる「ポジティブリスト制度」が施行されます。
この制度は今まで残留基準の定められていなかった、農薬、飼料添加物及び動物用医薬品(以下「農薬等」)について新たに残留基準を設定し、一定量を超えて農薬等が残留する食品の流通を禁止とするものです。

 

食品衛生法によると「食品は農薬等が厚生労働大臣の定める量(一律基準:0.01ppm=1億分の1の濃度)を超えて残留するものであってはならない。ただし、別に食品の規格(残留基準)が定められている場合は、この限りでない。」 とあります。

施行後に対象となる農薬等の数は、人の健康を損なう恐れのないものと規定されている物質を除き799項目。
基準値には、 (1) ポジティブリスト施行前からあった「残留基準」、(2) 施行に伴い設定された「暫定基準」、および前述の (3) 「一律基準:0.01ppm」 の3種類があります。
このうち対象食品毎に個別に基準値があるものが「残留基準」および「暫定基準」、ないものが「一律基準」となります。そして「残留基準」および「暫定基準」が定められた食品は、農産食品・畜水産食品・加工食品等約280種類あります。

 

ここで注意が必要なのが、個々に基準値があるもの、つまり「残留基準」および「暫定基準」(合わせて300位が多い)だけが検査項目として適用、と言うものではなく、まず799項目全てに一律基準値である0.01ppmを当てはめ、「残留基準」および「暫定基準」が定められた項目はそちらを適用する、となっております。
つまり対象食品全てに799項目が適用されるのです。
また、加工食品で「残留基準」および「暫定基準」がないものに関しては、それらが定められている原材料の段階で基準値をクリアしていれば問題なし、加工食品そのものを検査する場合は全項目に一律基準が適用となります。

 

最後に、ポジティブリスト制度は、食品に残留する農薬等の分析を食品事業者等に義務づけるものではなく、したがって基準が設けられた物質すべての検査をしなければならないわけではありません。
従来からの残留農薬等に対する取組みと同様、「信頼できる事業者と取引する」 「使用される可能性のある農薬等の種類や方法、残留基準、違反事例の有無などを確認する」 「必要に応じ残留状況について検査する」 などの取組みが原材料の安全の確保のために必要になるのです。

 

以上、大まかな制度の概要を述べました。但し、「〜農薬等の分析を食品事業者等に義務づけるものではなく・・・」とありますが、実際に食品業界の反応は、そうもいかないようで、検査証明書を添付しなければ取引が出来ない状況が多いようです。
現実的には、一つの食品について全ての農薬の残留を分析するのは、無理な話ですから、一番ベストな対応方法として、原材料の使用農薬を追跡調査し、それらの項目についての検査を行い、プラスアルファで一斉分析を行うということが挙げられます。農薬が適切に使用されているのかをチェックすると共に、使用農薬以外の付着などがないのかをチェックするわけです。
それでも、原材料の種類や購入先によっては、使用農薬の追跡を行うのが非常に困難な場合も多々見られます。その場合は、その作物で登録されている農薬の調査を行うのが、ベターでしょう。

 

施行後の食品業界の動向はまだ、若干不透明ですが、弊社も検査会社としてお客様のご利用しやすさを追及していますので、ご興味をもたれた方は、ぜひ残留農薬分析特集ページもご覧ください。

youtube