ポジティブリストについて

残留農薬などのポジティブリスト制とは、「基準が設定されてない農薬等が一定量以上含まれる食品の流通を原則禁止する制度」のことです。以前の制度では、農薬、飼料添加物及び動物用医薬品のうち、241の農薬と29の動物薬に残留基準が設定されており、残留基準を超えている食品の流通は禁止されていますが、その中に含まれない農薬等に関しては、たとえ食品に残留していても基本的に流通の規制はありませんでした。

 

ポジティブリスト制はこれまでに基準のなかったものに対して基準を設定し、人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとの区別を明確にします。流通するすべての食品に関して農薬、動物用医薬品、飼料添加物の残留による人々の健康被害を保護する目的があるのです。

 

残留農薬の分析は、「個別分析法」と言って膨大な時間と手間を要するものでした。しかし、数百種類ある農薬の残留を試験するのには、全く対応が出来ません。そこで「ポジティブリスト制」に対応するために、現在では「多成分一斉分析法」という方法を取り入れている検査機関が増えています。

 

農薬の基準値の設定や検査方法の確立など移行期間までに解決しなければならないことが多々あると考えられますが、行政と食品関連業者、そして検査機関がそれぞれの役割を認識し対応していかなければ「人々の健康被害を保護する」という目的を達成することはできないのです。

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