ノロウイルスについて

秋から冬にかけて、”食中毒 ニュース” といったキーワードでネット検索をすると、必ず「ノロウイルス」「集団感染」といった単語が目に映ることと思います。ここ数年、特に2004年12月〜2005年1月に、高齢者福祉施設の連続集団発生が起こり、マスコミを賑わせたこともあって、多くの方がこのウイルスに関して目や耳にする機会が増えたことでしょう。
では、なぜ、ノロウイルスによる食中毒事件、感染症が多発するのでしょうか?

 

第一の理由として挙げられるのは、ウイルスの感染力が強いということです。10〜100個程度で感染発病させることが出来るといわれています。ノロウイルスは感染者の腸内で増殖し糞便によって排出されますが、糞便1g中に1億個以上のウイルスの存在が確認されたデータもあります。つまりは、糞便などによる汚染が極めて少量のものであったとしても、そこには大量のウイルスの存在が推測されるのです。

 

第二の理由としては、熱や消毒薬による殺滅が容易ではないということです。ウイルスの不活化(活動ができない状態にすること)には、85℃で1分間以上の加熱が必要とされていますし、食品製造現場において良く使用されている消毒用のアルコールや次亜塩素酸ナトリウムに対する耐性も高いのです。

 

さらには、感染者の症状消失後もウイルスを排出することも理由の一つとなります。症状が消失後1週間から1ヶ月程度ウイルスの排出が続くといわれていますので、特に食品を取り扱っている方は、ノロウイルスの症状消失後であっても、直接食品に手を触れないなどの対策が必要です。

 

これらの理由によって、対策が難しく、多発性が高いノロウイルス感染を防ぐには、どのようにすれば良いのでしょうか?

 

それは、特殊なことではなく、加熱と洗浄がポイントとなります。
具体的には、調理器具や食材などで加熱可能なものは85℃、1分間以上加熱し、手指の洗浄などはブラシなどを使用して、より丁寧にウイルスを洗い流すといったことです。このようなことは、食品調理や加工に従事している方は、当たり前と思っているかもしれません。しかし最後に、もう一つ理由を挙げるならば、食品を扱っている方々の当たり前のことが出来ているか否かということかも知れません。

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