リスク分析

食品事故が後を絶えない昨今、私たちは表示や報道に一層敏感になっています。安全な食品を食べたい!!でも、安全って何でしょうか?

食品衛生の現場では、時として「絶対に安全」という言葉を求められることがあります。しかし、「ゼロリスク」がない以上「絶対に安全」と言い切れることはありません。だからといって事故後の対策だけに頼っていては、私たちは「安心」して食品を摂ることができません。したがって、事故が起きる前にリスクを検証し対策を立てていくことが重要なのです。

FAOやWHOが提示しているこのような考えをリスク分析といいます。リスク分析はリスク評価・リスク管理・リスクコミュニケーションという3つの要素によって成り立っています。
リスク評価は科学的な検証を指します。事故が起こることによる影響や、事故が起こる確率などを予測し、評価(リスク評価)します。リスク評価を踏まえて、対策が立てられたり実行されたりします。これをリスク管理といいます。これには、暫定的な対策も含まれます。そして最も重要な部分がリスクコミュニケーションです。
リスク管理によって対策が決まっても、実際にその対策を行う側、対策の影響を受ける側、様々な意見があるはずです。関係者が積極的に意見を出し合い、必要であればリスク評価やリスク管理に立ち戻ることもできます。

これは何も国の対策に限ったことではありません。少し規模を小さく考えれば、リスク分析は食品工場やレストランなどで考えることもできるのではないでしょうか?特にリスクコミュニケーションは従業員だけでなく、出入りされている業者や他工場、消費者などの意見を求めてもいいかもしれません。もちろん、専門的な知識が必要な場合は私たちがお手伝いします。「農場から食卓まで」といわれるように、食品安全のための対策に各方面の協力が現在求められています。広く意見を出し合い「安心」を作って行きましょう。

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