今さら聞けない?意外に多い養豚管理の基本について!(3)
今さら聞けない?意外に質問が多い養豚管理の基本について(3)
今回はシリーズの最終になります。各畜舎毎にポイントをまとめて見ましたので参考にして下さい。
<導入育成豚舎>
(1)的確な種豚選抜。乳頭数、配置、脚、蹄の形、陰部の形等のチェック。
(2)農場の未来を左右するスター達の控え室。不衛生な環境による足の事故、ストレス、体型のばらつき等は将来の挫折を招く。
(3)体格が良いのとデブは違う。体格が良い豚:骨格、筋肉、胃腸の発達が順調。子宮も大きく育っている。
単なるデブ:骨格、筋肉よりも脂肪。内臓脂肪の圧迫によって胃腸と子宮が萎縮。
④必要温湿度:14〜18度、60%。飲水量〔リットル/頭/日〕:10。
<交配舎>
(1)初回交配時の体格は重要。しっかりとした体形と胃腸をそなえていること。
(2)衛生環境が最も良く自慢できる場所であること。床面の水濡れ、残餌や糞尿による口腔と陰部の汚染、飼槽の汚れ、風当たりと温度差等のチェック。
(3)栄養と温度。『性欲より食欲』が基本。交配前の栄養不足、交配後の過剰栄養(ただし痩せ型は異なる)、交配後3週間目位までの温度変化には注意。
(4)暗くて何が解るのか?何が出来るのか?。繁殖成績に点灯管理は重要だが、それよりもその前にある”基本の清掃や体調のチェック”が行なえないことが一番の悪影響になる。
(5)必要温湿度:14〜18度、60%。飲水量〔リットル/頭/日〕:10。
<妊娠豚舎>
(1)母豚が最も長く生活する拠点。疾病感染が起こりやすい期間。
(2)病気は見えにくいが病気の素は容易に見ることができる。
※病気の素:残餌、こぼし餌、粉塵、クモの巣、鼠の死骸と鼠の糞等。
(3)体調のチェックを癖にする。熱、糞の色、形状、量、尿の色、異物、量等。
(4)便秘や硬い糞の排泄に注意。妊娠中毒、腎機能障害、急性膀胱炎等に繋がる。
妊娠前期〜中期の多給、飲水量不足、脱水症状等が要因。浣腸も有効。
(5)必要温湿度:14〜18度、60%。飲水量〔リットル/頭/日〕:10〜15。
<分娩舎>
(1)身重の母豚が安心できる場所を提供する。入居は分娩1週間前には行う様にする。
神経質になっている時期なので、騒音、振動、むやみな行動は避ける。
(2)体調のチェックを癖にする。問題が発生する前に対応を行うことが重要。
母豚:熱、乳房の張り、硬さ、糞の色、形状、量、尿の色、異物、量等。>
哺乳子豚:糞の色、形状、量、尿の色、異物、量等。
(3)便秘や硬い糞の排泄に注意。妊娠中毒、腎機能障害、急性膀胱炎等に繋がる。
妊娠前期〜中期の多給、飲水量不足、脱水症状等が要因。浣腸も有効。
(4)母豚側の温度と哺乳子豚の温度は異なる。母豚側の温度が高くなると様々な弊害が発生しやすくなる。
(5)初乳を如何に飲ませるか。
子豚の初乳の吸収は生後6〜12時間以内がピーク。
初乳には常乳の数倍の免疫グロブリン〔Ig−G80%、Ig−A15%、Ig−M5%〕と栄養が含まれる。
(6)常乳を如何に飲ませるか。
初乳には少ない免疫グロブリン〔分泌型Ig−A〕が多く含まれている。
この分泌型Ig−Aは腸管粘膜から吸収されず、約1週間分泌され哺乳子豚の腸管粘膜を保護する。
(7)母豚:必要温湿度:14〜18度、60%。
飲水量〔リットル/頭/日〕:20〜30。
授乳時間〔常乳〕:約1時間に1回。1回20〜30秒。泌乳量:6〜8㎏/頭/日。>
哺乳子豚:必要温湿度:生時36度、1週齢30度、2週齢28度、3週齢26度、60%。
目標体重:3週齢7kg。飲水量〔リットル/頭/日〕:0.19〜0.76。
<子豚舎>
(1)やさしい母豚と母乳から離れて初めて見る生活場所になる。移動後まもない時期は、分娩舎側の生活環境を無視しないこと。
分娩舎の環境が間違っていれば問題があるが、移動直後の環境は分娩舎を基準にして管理する。
(2)移動初日〜7日間(特に重要なのは初日からの3日間)の飼料と飲水の摂取行為が重要。
ここでは必ず喧嘩、躊躇が起こり、飼料と飲水の摂取行為に変化が生じて胃腸への負担が増加しやすい。
ただ移動するだけでなにも工夫していない所は1〜3割程度の落ちこぼれが自然に発生する。
(3)受け入れ前の準備はOK?。給餌器、給水器、熱源機器、空調設備、床状態等の機能と衛生状態の再チェックとプラスアルファの工夫。
(4)くしゃみや咳は要注意。生後60日齢までの粘膜は非常に弱く傷つきやすく、疾病感染と免疫力・体内栄養の消失を助長する。
全ての疾病防御の要は鼻口腔の健康から始まる。
(5)体感温度変化、風当たり、過換気は必ず避ける。
(6)必要温湿度:4〜5週齢25度、5〜6週齢24度、7〜8週齢23度、9〜10週齢22℃。60%。目標体重:10週齢30kg。飲水量〔リットル/頭/日〕:1.45〜4.16。
<肉豚舎>
(1)受け入れ前の準備はOK?。
給餌器、給水器、熱源機器、空調設備、床状態等の機能と衛生状態の再チェックとプラスアルファの工夫
(2)飼料と飲水の常時チェック。
(3)体感温度変化、酸素不足は必ず避ける。
この時期は食欲も旺盛で体格も大きくなり、呼吸量も増え新鮮な空気を大量に求める時期になる。
(4)ホコリや乾燥の害に危機感を持つ。呼吸器粘膜の刺激、皮膚粘膜の刺激が与える無駄なカロリー消費は生産性を著しく低下させる。
(5) “餌、水、空気”これが養豚の3大基本。色々な意味で”おいしい豚”の条件。
(6)必要温湿度:11〜24週齢21〜16度、60%。目標体重:17〜18週齢70kg、24週齢110kg、飲水量〔リットル/頭/日〕:4〜10。