豚サーコウイルス2型汚染検査におけるrPCR法の有用性

目的

豚サーコウイルス2型(PCV2)の感染は、ほとんどの農場でみられ、死亡率の増加や増体重の低下などをもたらす。
PCV2検査は、PCR法、間接蛍光抗体法(IFA法)及びELISA法が用いられている。しかし、これらの検査では正確な汚染度を明らかにすることができないため、ウイルス量を定量できるリアルタイムPCR法(rPCR法)が推奨されている。
そこで、農場の離乳後事故率(事故率)とrPCR法及びIFA法の結果を比較し、rPCR法の有用性を検討した。


方法

関東地域にある事故率が5%、10%及び20%の各3農場で、平成20年に採材したPCV2ワクチン未接種の血清を用いた。
検体数は各農場で母豚6頭、30、60、90、120及び150日齢の肥育豚3頭ずつを基本とした。
rPCR法による血清1mL中のPCV2量及びIFA法による抗体価の測定を行い、その結果を比較した。


結果

事故率5%群のPCV2量は6.0×102〜7.6×103 copies/mLで、90日齢で最高値を示した。
事故率10%群及び20%群では6.0×102〜3.8×104 copies/mL及び3.1×103〜2.4×105 copies/mLで、60日齢で最高値を示した。
事故率5%群は20%群と比較して母豚、30日齢、60日齢、150日齢で有意に低かった。
また10%群との比較では60日齢で有意に低かった。事故率10%群は20%群と比較して母豚、150日齢で有意に低かった。
IFA抗体価は、いずれの日齢においても群間に有意差はみられなかった。


総括

事故率5%群のPCV2量は全ての日齢において104 copies/mL以下であったことから、このレベルが事故率改善の一つの指標となることが示唆された。
また、日齢ごとにPCV2量を測定することにより、PCV2の増殖時期が明らかとなるため、対策を講じる上で有用な情報となると考えられた。

< 初出:獣医学会2009秋 内藤雅也 >

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