器具・機材や重機の点検強化

  養豚の現場では常に怪我や事故の危険が伴っています。毎日繰り返される作業の中で慣れが生まれ、当初は気を付けていた細かい確認や点検も面倒くさくなったり、注意力が散漫になったりで実行できていない現状にあると思います。

ところで、皆さんは毎日の作業中で”ひやっと”した怖い経験はどのくらいあるのでしょうか。”ひやっと”しただけで、怪我もないときはとてもラッキーだと思いますが、打撲、骨折、裂傷、切断など軽傷から重傷まで経験している農場関係者は意外に多いのではないかと思います。

先日とても悲しく、不幸な事故が起こってしまいました。私が伺っている農家養豚の社長さんが堆肥舎で作業中に操作していた重機に挟まれて亡くなられてしまったのです。突然の事故で残された奥さまや息子さんの悲しみようは言い表せる状態ではありませんでした。しかし、このような不幸な事故や怪我は今もどこかの農場で発生している可能性があり、気を許せない状態にあります。

ここ数年の養豚業界は経営的に厳しい時期が続き、新しい器具や機材、重機などを購入したり、早期に修理したりすることが難しく、ごまかしながら何とか使用していたり、修理自体がついつい後回しになるなどのケースが多いように感じます。今回のような重機の不具合による大きな事故ばかりではなく、ワクチン接種時、去勢時、交配時、移動時、スクレーパー修理時、飼料ライン修理時などの日常の些細な作業中の怪我や事故も多発している傾向にあると思います。

 

<事故の発生をゼロ(0)にするために>

養豚現場の実情からすると作業事故の完全な撲滅(ゼロ)は難しいかも知れません。しかし、様々な過酷な条件があったとしてもその事故や怪我を悲しむ人や悲しむ豚達がいる以上はそれを超えて”安全.安心”を目指すことが重要と思います。

疾病事故の軽減や環境整備の強化(糞尿処理)、付加価値のある肉の生産など経費をかけなくてはいけない部分が多く存在する業界とは思いますが、自分自身や家族、従業員の身の安全を守ることができて初めて良い経営と言えるではと思います。

不幸な事故や怪我を未然に回避することができる『器具.機材の毎日の点検・修理、重機から離れる時は必ずエンジンストップなど』については、全ての農場で実践されることを望みます。

 

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