ワクモ対策

 近年は、ウインドレス鶏舎の普及や暖冬で年中ワクモに悩まされている養鶏農家さんも少なくないと思います。また、ワクモの市販殺虫剤に対する抵抗性は年々増加しています。
 ワクモ被害状況としては、①貧血、嗜眠状態、死亡、鶏痘などの他疾病の誘因など鶏体への影響、②産卵率の低下、③汚卵の発生、そして間接的な被害として、ワクモに刺される、アレルギー症状、気持ちが悪いなど人への被害があげられています。
 これからの時期、いやもうすでに、ワクモ被害が増えてきているのではないでしょうか。
被害低減のために、下記の対策を再確認してみてください。(卵用鶏ワクモ対策マニュアル参考)
これらを単独で行うだけではなく、組み合わせることがワクモ被害の低減へとつながっていくと思います。
下記6、7、8をオールアウトから導入前の対策の1つとし、その他のものを併せて対策を行ってみてはどうでしょうか。まずは、やれることをしっかりやってみてください。

1.長靴や衣服の交換
  各鶏舎へ持ち込まないための交換です。
2.器材の高温加熱処理(ラックやコンテナ等)
  成ダニは65℃の温水がかかれば死亡します。
3.鶏舎での殺ダニ剤踏み込み槽の設置
  各鶏舎へ持ち込まないための交換です。
4.ネズミの駆除
  ネズミにより持ち込まれる可能性があります。
5.効果的薬剤の選択  
  定期的な感受性の確認は必要かもしれません。
 ・有効な市販殺虫剤:有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系殺虫剤
など
 ・ワクモ専用殺虫剤:エトキサゾール製剤(IGR(昆虫成長制御剤))・スピノサド製剤
6.オールアウト後の鶏舎・器材への薬剤散布および高温加熱洗浄
 鶏舎内の広がりを抑えるために、オールアウト直後に薬剤散布で成ダニを殺して、65℃以上の高温加熱洗浄を行います。
7.約1カ月の空舎期間
 ワクモは、無吸血で生存しています。無吸血ワクモは吸血ワクモより殺虫剤に対する抵抗性が弱いと言われおり、対策のチャンスです。
8.導入前に再度薬剤散布
 ワクモはワクモは無吸血状態にある場合、薬剤に対する抵抗性が弱くなる傾向にあるため、薬剤はオールアウト時だけでなく、新たな鶏群導入の直前に再度実施すると、さらに効果的です。
9.環境制御資材(シリカ、珪藻土など)
 鶏舎内に散布すると、物理作用によりワクモの動きを制御し、吸水性能に
よりワクモの体液を奪い脱水症状に陥らせ、活動を停止させます。
10. 段ボールをワクモトラップとして利用

 余談ですが、すでに農場で実施されてる方も多いかも知れませんが、私が、採卵鶏農家さんに教えてもらった、人のためのワクモ対策です。鶏舎に入る時、長靴の履き口付近に、ガムテープの粘着部分を表にして半分に折り貼り付けます。そうすると、床から上ってくるワクモをシャットアウトできます。
掃除等の作業をしてたら、ワクモは服に付きますが、少しでも、皆さんのワクモストレスの低減の参考になれば幸いです。

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