味に関わるおいしい話⑤ 熟成肉のうま味の評価について
~食品の熟成とうまみ~
熟成した食品は、未熟成のものよりも味や香りが向上することが明らかになっています。
食品の熟成とうま味成分には深い関係があり、下記のような事例が挙げられます。
・トマトは真っ赤に熟すに従い、うま味成分であるグルタミン酸が増加する。
・肉類・魚類は時間の経過によってタンパク質が分解されてアミノ酸のひとつであるグルタミン酸が増える。
・チーズや生ハムは熟成期間中にタンパク質が分解されることによってアミノ酸が増加し、うま味成分である
グルタミン酸が増えていく。
・肉類の筋肉中に蓄えられていたATPが分解されてイノシン酸になり、うま味成分が増える。
しかし、必ずしもグルタミン酸、イノシン酸が多く含まれていると「おいしい」かというと、そうではありません。
おいしさの要素として、まろやかさや口どけといった食感も重要になってきます。
まろやかさや口どけの指標として、脂肪酸組成の分析は有効です。脂肪酸の一種であるオレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、及びステアリン酸は脂の香り・甘味を増加させます。
特にオレイン酸は多く含まれるほど「柔らかくおいしい」と評価されることが知られています。
~熟成肉のうまみの評価とは~
弊社では「熟成肉(牛肉)のうまみ」を総合的に評価する、「風味総合評価検査」を行っています。
「風味総合評価検査」により、人の舌で感じるうま味に関連する成分を測定し、「おいしさ」を数値化することが可能です。
評価項目は「うま味」、「甘味」、「苦味」、「香気」、「口溶け」、「うま味の後味」の6項目を評価します。
評価方法は要因毎に基準値と比較し、10段階のスコアとして評価を行います。
評価の元となる検査対象成分は、脂肪酸組成、遊離アミノ酸(20種)、イノシン酸です。
「うま味」、「甘味」、「苦味」の要因となるアミノ酸とイノシン酸の含有量を測定し、脂肪酸では「良い香り」、「悪い香り」、「良いくちどけ」、「悪いくちどけ」の要因となる脂肪酸をそれぞれ測定することで、総合的な「おいしさ」を数値化します。
「おいしさ」を数値化することで、製品の質の向上、差別化、ブランド化を図ります。
肉質評価には基準値はありませんので、経時的なデータ管理や比較試験などが有効です。
別途カビや細菌・微生物検査も承っておりますので、熟成肉を取り扱う方はぜひご検討下さい。
検査の詳細はこちらです→→「熟成肉のうま味評価検査 」
まずはお気軽にご相談ください。
<まとめ>
・食品の熟成とうま味成分には深い関係がありますが、必ずしもグルタミン酸、イノシン酸が多く含まれていると「おいしい」かというと、そうではなく、おいしさの要素として、まろやかさや口どけといった食感も重要になります。
・弊社では風味総合評価検査を行っており、人の舌で感じるうま味を関連する成分を測定し、「おいしさ」を数値化することが可能です。
参考資料
アミノ酸ハンドブック 味の素株式会社 編 工業調査会
『うまみ成分検査』については、こちらをご確認ください。
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