PCBについて

  PCBとはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、不燃性で電気を通さない、溶けにくく安定である等の有用な特徴があることから、以前は変圧器やコンデンサーの絶縁用の油、蛍光灯の安定器などを始めとして様々な場面で使われていました。しかしながら、脂肪に溶けやすいという性質から、人体に蓄積し様々な健康被害を引き起こすことが明らかとなり、製造や使用が禁止されました。さらに環境への影響が大きいことから環境省はPCBを含む物質の処分期限を制定しました。

 高濃度PCB廃棄物の処分期限は2022年3月末に設定されています。一方、低濃度PCB廃棄物の処分期限は2027年3月末に設定されており、PCB含有量5,000 mg/kg超過、もしくはそれ以下で処分期限が5年間異なってきます。またPCB含有量が0.5 mg/kg未満の場合には、PCB廃棄物に該当しません(図1)。

 処分期限が2022年3月末に迫った高濃度PCB廃棄物は、全体の約9割が処分されました。そのため現在では、低濃度PCB廃棄物なのか、もしくはPCB廃棄物非該当なのかを判定する試験が増えており、それに適応する試験法も改良されてきました。

 PCBの試験法は環境省で通知されています。最新版の第4版では、定量濃度範囲が50~5,000 mg/kgに設定されており、高濃度、低濃度、非該当の選別を主眼とした簡易試験法になっています。また、これまでガスクロマトグラフ/電子捕獲検出器(GC/ECD)を用いた試験法が主でしたが、第4版では「塗膜くず」を対象にしたPCB試験においてGC/ECDは不可となり、高感度なガスクロマトグラフ/質量分析装置(GC/HRMS, GC/MS/MS, GC/MS)のみ使用可になっている点が大きな改訂となっています。

 塗膜くずや絶縁油、その他様々な検体のPCB試験は現在準備中です。でき次第お知らせさせていただきますのでもう少々お待ち下さい。


           図1 PCB廃棄物の区分及び処分期限

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