令和元年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金で固相抽出自動前処理システムを導入しました。

《はじめに》
この度、令和元年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金で固相抽出自動前処理システムを導入致しました。
この固相抽出自動前処理システムを導入し、生体試料中の動物用医薬品CRO(開発業務受託機関)業務を行う予定です。

生体試料中の動物用医薬品を測定する際には生体試料を直接測定する事が出来ません。これらの成分は液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置(LCMSMS)、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析装置(GCMSMS)等の分析機器を使用して測定する事が殆どですが、生体試料を測定可能な状態にするためには、前処理という工程が必要となります。前処理には①試料の抽出、②固相抽出による精製作業があります。前処理は誤差の要因となり、更に機器分析の際に測定値へ影響するため、前処理により測定値の精度が違ってきます。
今回①で抽出した試料溶液を、固相抽出自動前処理システムを使用して、②固相抽出による精製作業を自動で行う手法を確立いたしました。

《固相抽出による精製作業を自動化するメリット》
前処理における固相抽出で再現性や回収率を安定させるには、サンプル抽出液を含めた溶媒類の流速を正確にコントロールすることが重要です。
G-Prep FA-101は高性能シリンジポンプにより、極めて正確な送液性能を持ち、再現性に優れています。従って、
①操作における人的誤差の排除
②個人差・日間差の解消

更には③自動化による工程の安定化
が可能となります。



導入した固相抽出自動前処理システム:G-Prep FA-101
(ジーエルサイエンス株式会社)

《固相抽出自動前処理システム:G-Prep FA-101による精製作業》
このシステムによる精製作業を簡単に説明いたします。

(1)コンディショニング
固相抽出剤(固相カラム充てん剤)は,通常の場合は乾燥状態にあり,色々な種類の固相カラムに合った適切な溶媒を通液しておくことで試料溶液を負荷した際、吸着を最適にします。この溶媒を通液する作業をコンディショニングといいます。

2)試料採取
生体試料を抽出作業により溶液化した試料溶液をサンプルラックにセットすると、試料溶液を自動で採取します。

(3)試料負荷・洗浄・脱水
試料負荷:試料溶液を固相カラムに流して目的物質を保持させます。一部の夾雑物も同時に保持されます。
試料溶液の負荷の後、洗浄溶媒を固相カラムに流し、夾雑物を洗い流す作業(洗浄作業)を行います。
洗浄作業の後、固相カラム内に空気を送り、加圧も行える為、溶媒を押し出す操作(脱水)も可能です。

(4)溶出
固相ラックが回収用試験管の上に移動し、溶出溶媒が一定速度で通液されます。通液されて出てきた液を溶出液といい、この液を分析装置で測定します。

《固相抽出自動前処理システム:G-Prep FA-101を使用し回収率を検討した結果》

動物医薬品の1成分を従来法(前処理を分析者が実施)と固相抽出自動前処理システムを使用して添加濃度50 ng/mL、繰り返し数 n=7で実施し、回収率と変動係数の比較を行いました。

表1 従来分析法及び開発した分析法で添加回収試験結果

この結果から、固相抽出による精製作業を従来法(前処理を分析者が実施)と比較すると精度が向上していることが分かりました。
固相抽出自動前処理システムを用いて固相抽出の精製作業を自動化することで、分析の精度を高め、より信頼性の高い分析結果に基づいた動物用医薬品開発を行える様進めて参ります。


参考文献
固相抽出自動前処理システム G-Prep FA-101:ジーエルサイエンス株式会社

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