飼養衛生管理基準

1月16日に香川県の高病原性鳥インフルエンザの移動制限が全て解除されました。香川県三豊市では、昨年11月5日に今年度初の発生から12例の発生があり、約2か月ぶりの解除になります。早く、この養鶏地域に活気が戻ることを願っております。

そんな中、渡り鳥が北へ移動する時期に入り、北での発生が今も続いているのが現状です。
そのような中、農林水産省から飼養衛生管理基準のうち、今シーズンの発生農場で不十分であった7項目についての下記のとおり自主点検結果が公表されました。結果は、1割ほどで不備がありました。
7項目のうち、野生動物の侵入防止ネットは、家畜保健衛生所の方々も、以前から他の項目以上に口を酸っぱくして農場に言ってきた内容だと思います。その効果もあってか、95%と高い遵守率です。
どの畜種よりも飼養衛生管理基準の遵守率が高いのは、「養鶏農場だ」という意識が畜産に携わる者にとってあります。

近年、口蹄疫、豚流行性下痢、豚熱、アフリカ豚熱等の侵入防止により、養豚農場の方々の飼養衛生管理のレベルも上がってきているように感じられます。そうは言っても、まだまだ養鶏農場の方が、養豚農場よりも高い遵守率に違いありません。
項目の中にある家禽舎毎の専用長靴の設置と使用については、家禽舎に前室がある場合は、改善がすぐに可能です。

しかし、中には前室は別棟になっており、外との動線が交差していたり、長靴を履き替えていない農場など、ウイルスを家禽舎へ持ち込む恐れが高い農場があります。今年度の発生事例でも指摘されていた項目です。家禽舎内に新たに前室が設置できるのか、出入り口に屋根を設置するのか。防鳥ネットや消毒機器の整備だけでなく、このような設備に対しても支援対策の対象であってほしいと思います。

「衛生管理区域や家禽舎の専用靴の設置と使用」については、すでに、実施されている方も多くいると思います。どんなふうにして交差を無くそうか考え中の方は、是非、下記を参考にして下さい。 

1.長靴の履き替え場所にスノコなどを設置するだけで履き替えやすくなります。片足立ちの必要がありません。 

2.畜舎内の長靴はボックスに入れたり、壁に棒を設置して、脱いだ長靴を差し込むことで、交差をなくします。 
3.畜舎内外の長靴の色を変更し、見える化します。作業に支障がなければ、畜舎内はスリッパのように履き替えやすいものにしている農場もあります。
畜舎内=長靴ではないんだと、長年畜産に携わっている私には、衝撃的でした。

 

昨年7月施行の改正家畜伝染病予防法では各畜種に定められている飼養衛生管理基準を守らない農場に対し、都道府県が指導、助言、勧告や命令が出来ると定めてあります。最も高い命令に違反した農場は事業名を公表出来ることになっています。
先日、国から鳥インフルエンザ感染拡大防止に向け、養鶏農場の衛生管理を徹底する狙いで都道府県に基準を順守しない事業者名の公表を指示する方針が示されました。
畜産農家の方々の責務は、大きくなる一方のように感じられます。
養牛、養豚、養鶏といった枠を超えて、良いものを参考にしながら、コロナに負けない、日本の畜産の底力を見せてほしいと願っております。

家禽飼養農場などでの飼養衛生管理の自己点検結果

自己点検項目遵守率(%)
衛生管理区域に立ち入るものの手指消毒など92
衛生管理区域専用の衣服、靴の設置と使用89
衛生管理区域に立ち入る車両の消毒93
家禽舎に立ち入る者の手指消毒など91
家禽舎毎の専用の衣服、靴の設置と使用89
野生動物の侵入防止ネットなどの設置・点検・修繕95
ネズミ及び害虫の駆除93

※1月18日時点 総報告農場数13,543

 


『鶏検査』については、こちらをご確認ください。
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