ビタミンEの効果や摂取基準も詳しく解説

ビタミンEの由来

ビタミンEは、脂溶性ビタミンと言われ、水に溶けない性質があり、主に脂肪組成や肝臓に貯蔵されます。身体の機能を正常に保つ働きをしていますが、摂りすぎると過剰症を起こすことがあります。1)
ビタミンEは、ビタミンEが不足したネズミが不妊症になることや、妊娠しても流産することから発見されました。生殖機能を正常に保つ効果があることから、tocos(ギリシャ語で”子供を産む”),phero(“力を与える”),ol(“水酸基をもつ”)という意味でtocopherol(トコフェロール)と名づけられました。2)

ビタミンEの構造

ビタミンEは4種のトコフェロールと4種のトコトリエノールの合計8種類の化合物の総称です。3)
 
ビタミンEの構造
 
ビタミンEには、天然のα-トコフェロールと合成のα-トコフェロールがあります。天然と合成の違いは、下図の赤丸の立体配置です。立体配置にはR配置とS配置があり、3か所すべてがR配置のものが天然のα-トコフェロール(RRR-α-トコフェロール)となります。R配置にS配置が入ったものやすべてS配置のもの(RRR-、RSR-、RRS-、RSS-、SRR-、SSR-、SRS-、SSS)などの8種類が混合したものが合成のα-トコフェロール(dl-α-トコフェロール)となります。
 
天然のα-トコフェロールと合成のα-トコフェロール
 

摂取基準と食品表示成分表で扱われるビタミンEはα-トコフェロール 4)

食品から摂取したビタミンEが肝臓から血中に取り込まれるものとして、α-トコフェロールが圧倒的に多いため、2005年から食事摂取基準では、α-トコフェロール当量に代えてα-トコフェロールのみを指標にビタミンEの摂取基準を策定しました。そのため、日本食品表示成分表(五訂増補成分表)では整合性を保つため、ビタミンEはα-トコフェロールの成分値で示すことになり、α-、β-、γ-及び -トコフェロールを収載とすることになりました。それ以前(五訂成分表・初版)のα-トコフェロール当量の算出式は、次のとおりでした。

α‐トコフェロール当量(mg)
=α‐トコフェロール(mg)
+40/100 β‐トコフェロール(mg)
+10/100 γ‐トコフェロール(mg)
+1/100 δ‐トコフェロール(mg)

ビタミンEと一言でいっても、8種類の化合物から成っています。しかし、栄養成分として最も体内に吸収されやすいのは、天然のα-トコフェロールです。やっぱり自然に存在しているものが、体に一番合うということでしょうか。人間も自然と共に生きていると感じるには、スケールが小さい話ですかね。
 
検査についての詳細はこちら▼
>>栄養表示成分はこちらをクリック
 
【引用】
1) e-ヘルスネット(厚生労働省)
>>e-ヘルスネット(厚生労働省)はこちらをクリック
2) B. Sure, J. Biol . Chem. , 58, 693 (1924)
3) 1989 年 47 巻 10 号 p. 902-915
「ビタミンEおよびその類縁化合物の抗酸化作用」二木鋭雄
4) 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書|厚生労働省

youtube