食品に含まれるビタミンEの定量方法

今回は分析会社らしく、食品に含まれるビタミンEの定量分析についてお伝えします。
 

<食品に含まれるビタミンEの分析方法>

■分析機器

HPLC(高速液体クロマトグラフ)を使用します。
検出器は蛍光検出器を使用します。(励起波長298 nm,測定波長325 nm)

■分析法

食品に含まれるビタミンEの分析方法は各公定法に記載されています。1)
・日本食品標準成分表2020年版(八訂) 分析マニュアル [文部科学省] 2)
・食品衛生検査指針 [厚生労働省]
・衛生試験法 [日本薬学会]
上記に記載されている分析法はどれも、アルカリけん化処理後、液液抽出・減圧濃縮し、HPLCで測定を行う分析法が記載されています。

<飼料に含まれるビタミンEの分析方法>

■分析機器

HPLC(高速液体クロマトグラフ)を使用します。
検出器は紫外吸光光度検出器を使用。 (測定波長:280nm)

■分析法

ビタミンEは強い抗酸化作用を持つため、酸化されやすい特徴があります。そのため化粧品やビタミン強化剤、動物の飼料などには、酸化安定性を高めたビタミンE誘導体(酢酸dl-α-トコフェロール)として添加されていることが多いです。3)
 
酢酸dl-α-トコフェロール
 
飼料に含まれるビタミンEの分析法は、食品の分析法とは異なり、飼料分析法の飼料分析基準に記載されています。 4)
食品に含まれるビタミンEの分析法(日本食品標準成分表)との違いは、下記になります。
・使用する標準試薬がα-トコフェロールではなく、酢酸dl-α-トコフェロールを使用。
・アルカリけん化処理は行わず、溶媒抽出のみ。
・検出器は紫外吸光光度検出器を使用。 (測定波長:280nm)
 
弊社へ、たくさんのビタミンE分析のご依頼をしていただき、いつもありがとうございます。ご依頼いただく検体に合わせて、公定法に準拠しながらも、前処理方法や分析方法を検討し、より正確な定量値をお出しできるよう日々努力しております。加工食品のため、分析に影響する物質が含まれているのか、いないのか、はたまた食品なのか、ちがうのか、判断に悩み、抽出に苦慮することもしばしば。。。時には直接お客様へ確認やご相談の連絡をさせていただくこともありますが、より良い分析法にて結果を出すために、ご協力いただけますと幸いです。
 
引用
1) >>日本における食品のビタミンの分析法 | (財)日本食品分析センター
2) >>日本食品標準成分表・資源に関する取組 | 文部科学省
3) >>酢酸トコフェロールの基本情報・配合目的・安全性 | 化粧品成分オンライン
4) >>飼料分析基準 | 独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)
 
 

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