アフラトキシン:その① ~アフラトキシンの概要及び日本での基準値~

アフラトキシとは

アフラトキシンは、1960年に英国で発生した、飼料に使われたピーナッツ油が汚染されて、七面鳥の大量死が発生した事件の原因物質として発見され、主な産生菌であるAspergillus属菌のA.flavusにちなんで、「アフラトキシン」(トキシンは「毒素」の意)と名付けられました。
アフラトキシンは分子構造の違いによりいくつかの種類が存在します。食品への含有が問題となるのは、アフラトキシンB1、B2(B1の代謝物)、G1、G2(G1の代謝物)です。このうち、B1とG1はウシ等の反芻動物の体内で、それぞれM1とM2に代謝されて乳汁に移行することが知られています。
今回はアフラトキシンにおける日本の基準についてお話します。
 
アフラトキシンの各々の成分は下記の通りです。
 

アフラトキシンB1アフラトキシンB1
アフラトキシンB2アフラトキシンB2

 

アフラトキシンG1
アフラトキシンG2

 

アフラトキシンM1
アフラトキシンM2

 

食品中のアフラトキシンの基準値

日本ではアフラトキシンが検出された食品は、食品衛生法第4条第2号(現第6条第 2 号:有害な又は有毒な物質を含む食品の販売等の禁止)に違反するものとして取り扱う旨通知され、以降、当該通知に基づき総アフラトキシン(アフラトキシンB1、B2、G1及びG2の総和)を10μg/kgを超えて検出する食品は、食品衛生法第6条第2号に違反するものとして取り扱われています。また、乳に含まれるアフラトキシンM1が 0.5 μg/kgを超えて含有する場合も、同様の取扱として規制されることが決まりました。
 

飼料に含まれるアフラトキシンの基準値等

日本では飼料に含まれるアフラトキシン類を家畜が食べることによる、乳などの畜産物の汚染防止や家畜の健康保護を図る観点及び飼料製造事業者のGMP等の工程管理による有害物質の低減対策の効果を確認するための指標としての観点から、飼料中のアフラトキシンB1について以下の指導基準及び管理基準を設定しています。
 

飼料中のアフラトキシンB1に関する農林水産省の指導基準及び管理基準
飼料指導基準
搾乳の用に供する牛、めん羊及び山羊に給与される配合飼料0.01 mg/kg
飼料管理基準
反すう動物(ほ乳期のものを除く。牛、めん羊及び山羊にあっては、搾乳の用に供するものを除く。)、豚(ほ乳期のものを除く。)、鶏(幼すう及びブロイラー前期のものを除く。)及びうずらに給与される配合飼料及びとうもろこし0.02 mg/kg
反すう動物(ほ乳期のものに限る。)、豚(ほ乳期のものに限る。)及び鶏(幼すう及びブロイラー前期のものに限る。)に給与される配合飼料0.01 mg/kg

指導基準:著しい悪影響を及ぼす可能性がある ものに対して設定され、基準値を超えた飼料は製造 禁止や廃棄命令の対象となる
管理基準:工程管理による有害物質の低減対策の効 果を確認するための指標として位置づけられたもの であり、廃棄命令等の対象にはならない
 

アフラトキシンにおける愛玩動物用飼料(ペットフード)の製造・販売にかかる基準・規格

日本ではアフラトキシンB1について、愛がん動物用飼料の製造等に関する規制を行うことにより、愛がん動物用飼料の安全性の確保を図り、もって愛がん動物の健康を保護し、動物の愛護に寄与することを目的とする、愛玩動物用飼料(ペットフード)の製造・販売にかかる基準・規格定められています。
※政令に基づき対象は犬及び猫用のペットフードとされています。
 

分類物質等定める量(μg/g)
汚染物質※アフラトキシンB10.02

※汚染物質:環境中に存する物質であって、意図せず愛玩動物用飼料中に含まれるものをいう。
 
次回、アフラトキシン:その②では~飼料の分析(飼料の粉砕・抽出)~についてご説明させていただきます。)
 

参考文献;

>>いろいろなかび毒:農林水産省 (maff.go.jp)はこちら
>>環境省_愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法) [動物の愛護と適切な管理] (env.go.jp)はこちら
 
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