【JFS-B規格】FSM 9:文書・記録の管理
今回は、『JFS-B規格 FSM 9 文書・記録の管理』について、要求事項の、主に補足部分を説明してまいります。
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>>【食品コンサルティング】
まず、本要求事項は、『組織は、食品安全を確保するための工程管理と、効果的な運営を証明するための文書及び記録を作成し、維持し、保存する手順を定め、実施しなければならない。食品安全管理の実施を証明するために必要と定めた記録をとり、適切に保管しなければならない。』となっております。
文書・記録の管理は、品質管理や食品安全性の確保、および法的な規制への遵守を保証する上で重要なプロセスです。そのため、「必要な設定が確実に保持され、第三者にも説明が可能となる」ことや、「記録が不足なく保管され、後に振り返りが可能」であるよう、維持を行うことが重要です。
1.文章化≠文字化
製造プロセスや品質管理に関わる自社の状況、設定、手順に関する情報は、個人間の認識や理解のばらつきを防止するため、明確で正確に文書化する必要があります。
ただし、ここで言う「文章化」とは、単に文字に起こすことを指す訳ではありません。画像や写真、図、音声や動画なども含まれます。
デジタルテクノロジーの進展により、作業方法などを容易に動画化できるようになった昨今、文章化についても、より自社にとって共有化がしやすいものを検討していくのも良いでしょう。
2.管理の目的は情報の透明性と共有化
内容が更新されるたびに常に最新版が参照・運用が必要になりため、作成された文書は組織内で適切な場所に配置され、必要な関係者が容易にアクセスできるよう工夫が必要です。また、これにより、情報の透明性と共有化が確保されます。
3.求められる文章と記録
本規格にて、明確に「文章化が必要」としているものは以下の表のとおりである。
【要求事項で求められる文書及び記録】
番号 | 項目 | 文章化または記録の内容 | チェック | 備考 |
---|---|---|---|---|
FSM6 | 食品安全の方針 | 明白、簡潔に文書にした食品安全の方針 | ||
FSM13.2 | サプライヤーの管理 | サプライヤーに対する調査、評価、承認、フォローアップの結果の記録 | ||
FSM14 | トレーサビリティ | トレーサビリティの検証結果の記録 | ||
FSM22 | 重大事故管理 | 年一回テストで事故対応マニュアルの有効性を検証した記録 | ||
FSM25 | 是正処理 | 是正処理の文書 | ||
HACCP手順12 | 文書化及び記録保持 | (HACCPで)必要な文書を作り、記録をとる | HACCPで必要な文書、記録のすべてについて、この手順12で文書化、記録を要求している | |
GMP6 | 従業員等の衛生、作業服及び健康管理 | 従業員について適切な衛生基準を文書化 | ||
GMP11 | 空気及び水の管理 | 食品製造に使用する空気、高圧ガズ、水等の定期的なモニタリングの記録 |
4.記録は食中毒予防だけが目的ではない
記録を残すことは、食中毒予防とともに、様々なメリットも生まれます。
例えば、新規取引先が、取引前に自社工場の監査に訪れたとします。その際、正確な文章化と共に、それに関わる記録類についても正確に運用されていれば、監査当日だけでは測れない常日頃の工場の管理体制について、より明確にイメージができ、取引がスムーズに開始される可能性も高まります。
一方で、記録漏れや、誤記載などは、場合によっては、第三者に対し、日ごろの管理体制の粗雑さを浮き彫りにする可能性もあるので、日ごろから正確な記録をしていく必要があります。