生食用食肉における腸内細菌科菌群について

以前は飲食店でも提供され、よく食べられていた生の牛肉。ユッケや牛刺し、お好きだった方も多いと思います。しかし平成 23 年4月に腸管出血性大腸菌による食中毒が発生し、4名の方が亡くなられ重症者も多数出る痛ましい事故が発生しました。この事故を受け、平成 23 年9月、厚生労働省より罰則を伴う強制力のある生食用食肉(牛肉)の「腸内細菌科菌群」規格基準が策定されました。

●「腸内細菌科菌群」は

Violet Red Bile Glucose Agar(VRBG寒天培地)上でピンク色、赤色、紫色の集落を形成する、ブドウ糖発酵性でオキシターゼ陰性の細菌と定義されています(ISO_21528)。大腸菌群や糞便系大腸菌群だけではなく、大腸菌群の定義から外れる乳糖非分解性の主要な腸管系病原菌であるサルモネラ、赤痢菌、エルシニア等も含まれます。

●生食用食肉(牛肉)の「腸内細菌科菌群」規格基準の対象

生食用食肉として販売される牛の食肉(内臓を除く。)で、いわゆるユッケ、タルタルステーキ、牛刺し、牛タタキ、およびこれらを食材として調理し、販売される惣菜が対象となります。

●生食用食肉(牛肉)の「腸内細菌科菌群」規格基準における規制の内容

「腸内細菌科菌群が陰性でなければならないこと」
下記に示す試験法において、検体25g中、腸内細菌科菌群が検出されないことを言います。食品安全委員会において、リスク低減確認のため1検体を25gとして25検体以上が陰性であることの確認が必要です。

●「腸内細菌科菌群」試験法の概要

ISO 21528-1:2004に述べられている定性試験法を基に作成されています。
生食用食肉試料 25 gを秤量し、緩衝ペプトン水225 mlを加えホモジナイザーを用いて撹拌混合した後、37 ℃で 18±2時間培養後、VRBG寒天培地に画線塗抹します。37℃で 24±2時間培養後,形成された腸内細菌科菌群の定型集落を釣菌し、オキシダーゼ反応及びブドウ糖発酵性を確認し、腸内細菌科菌群の有無を判定します。

参考文献

「食品衛生検査指針 微生物編 改訂第2版 2018」
NIHSJ-15-2020,腸内細菌科菌群の検出試験法(定性法)
 
弊社では、公定法に基づいた腸内細菌科菌群の検査が可能です。
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