アフラトキシン:その③~飼料の分析(精製)~

はじめに

弊社では飼料の精製方法に関して、多機能カラムとイムノアフィニティカラムを使用して精製操作を行っております。
 

多機能カラム

逆相樹脂、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂の混合物を充てんしたものでどの樹脂がどのくらいの割合で入っているかは各メーカーで非公開となっています。
脂質や色素のような測定妨害成分が保持されてアフラトキシンは多機能カラムに保持されることなく、カートリッジを通過するような設計となっています。
イムノアフィニティカラムと比べると精製効果は若干落ちますが、操作が簡単で短時間にクリーンアップできます。
 
①多機能カラムに抽出液を通過
多機能カラムに抽出液を通過
 
②通過した液をナシフラスコに受ける
通過した液をナシフラスコに受ける
 
③濃縮後バイアルへ
濃縮後バイアルへ
 

イムノアフィニティカラム

寒天生産性を有す海藻から抽出された、不活性マトリックスを形成する天然物のアガロース(agarose)に、モノクローナル抗体を固定化したものをミニカラムに詰めた精製用カラムです。アガロースは中性かつ容易に誘導体化されるため、酵素、抗原、抗体のようなタンパク質に容易に結合します。毒性もないことから便利で電気泳動、クロマトグラフィーおよび他の分子生物学および生化学技術に使用されます。
試料から抽出した抽出液中のアフラトキシンをカラム中の抗体に抗原一抗体反応、により結合させ,水または経街液でカラムを洗浄後,有機溶媒を流してタンパク質である抗体を変性させ, アフラトキシンの結合を解くことにより溶出させる方法で、精製効果は格段に上がります。夾雑成分が多い試料の前処理に使用しています。
※今回は多機能カラムと同様のマトリックス(トウモロコシ子実)で実施してみました。
 
①イムノカラムに抽出液を通過(2022年度撮影)
イムノカラムに抽出液を通過(2022年度撮影)
 
②通過した液をナシフラスコに受ける(2022年度撮影)
通過した液をナシフラスコに受ける(2022年度撮影)
 
③濃縮後バイアルへ

 
多機能カラムとイムノアフィニティカラムで同じマトリックスを前処理してバイアルに入れ比較してみました。見た目でも精製の違いがわかますか?イムノアフィニティカラムで精製した方が色が薄く無色透明なのが分かります。
今回はトウモロコシ子実で比較しましたが、香辛料で比較すると更に精製の違いが分かります。
 
左:イムノアフィニティカラムで精製 
右:多機能カラムで精製

 
次回(アフラトキシン:その③では~飼料の分析(LCMSMS分析)~についてご説明させていただきます。)
 
弊社ではカビ毒検査を行っております。お気軽にお問い合わせください。
>>カビ毒検査 – 食環境衛生研究所 (shokukanken.com)はこちら

 
shokukanken chanel (食環境衛生研究所公式YouTube channel)
教えて!食環研~カビ毒編~ – YouTube

 

youtube