免疫力を高めるLPS食材

LPSとは?

「リポポリサッカライド(Lipopolysaccharide)」の略称で、日本語では「糖脂質」や「リポ多糖」と呼ばれます。名前の通り糖と脂質が結合した構造をしており、糖部分は水溶性、脂質部分は脂溶性であることから、水と油の両方に溶ける性質を持っています。
 

グラム陰性細菌由来の物質

LPSはグラム陰性細菌の外膜を構成する成分の一部です。
細菌類が多く存在している土の中では、細菌類は落ち葉や動物の糞尿などの有機物を植物が利用できる形に変え、植物が育ちやすいように働いています。細菌類が多ければ多いほど良い土(畑)ということで、栄養豊富な野菜や穀物が育ちます。すなわち、LPSも豊富ということになります。
 

マクロファージの活性化

LPSは免疫力アップに有効とされる成分で注目されています。
免疫細胞のマクロファージは、体内に侵入した異物を見つけ出し、食べてしまう能力を持っています。また、マクロファージの表面にはレセプター(受容体)と呼ばれる手のようなものが何種類もついており、これらのレセプターによって幅広い異物を認識し、その種類に応じた的確な対処をしています。
LPSは、マクロファージが持つレセプター(TLR4)と結合し、マクロファージがTLR4でLPSをキャッチすると、細胞核にシグナルが伝達されてマクロファージが活性化します。活性化したマクロファージは異物をキャッチして食べる能力(貪食能)が向上し、体内に侵入した細菌やウイルスが感染を拡大して病気になるのを防ぐ効果が得られます。このことから、LPSは免疫力アップに有効な成分として期待されています。
 

LPSの摂取

LPSは食事から摂取することができます。特に土で育つ野菜、レンコン、ゴボウ、大根、いも類にはLPSが多く含まれています。ただ、水に溶けやすい性質があるため、長時間水にさらすことはせず、サッとくぐらせ、皮を残したまま食べるとよいでしょう。
また、LPSは熱に弱く180℃以上に加熱すると壊れてしまうため、長時間に込んだり油で揚げたりせず、生のまま食べるか軽く火を通す程度にしましょう。
 
免疫力をあげて寒い冬を乗り切りましょう!
 
 

参考文献

杣 源一郎,ガンも認知症も寄せつけない「免疫ビタミン」のすごい力, ワニブックス新書,2015
 

youtube