Bacilli(バチルス)|耐熱性好酸性菌(TAB)について

●耐熱性好酸性菌とは

その名の通り、耐熱性があり酸性の条件下を好む細菌のことです。
「Termo-Acidophilic Bacilli」に分類され、略して「TAB」とも呼ばれています。
 

●耐熱性好酸性菌の歴史

1982年に西ドイツ(当時)で、リンゴ透明果汁の異臭を伴った変敗事故が発生しました。
従来、微生物は中性域でのみ増殖し、酸性食品では通常90℃以上の熱殺菌で十分であると考えられていましたが、この時の汚染菌は芽胞菌でありながら酸性下で増殖していました。
その後、衛生指標菌には含まれていませんが、飲料メーカー各社では耐熱性好酸性菌の制御が品質管理上重要課題となっていきました。
 

●耐熱性好酸性菌の一般的性質

①高温性 
常温よりも高温で増殖性がよい
45℃・5日間程度の培養条件で容易に増殖する
②好気性
酸素がなければ増殖できない「絶対好気性菌」である
③好酸性
酸性下でのみ増殖し、中性域では全く増殖不能である
④耐熱性
平均的な芽胞の耐熱性がある
⑤栄養要求性が低い
ビタミン・アミノ酸等の特定の栄養要求性はない
そのため、果汁分の少ない飲料でもよく増殖する
 

●耐熱性好酸性菌の代表菌種

Alicyclobacillus acidoterrestris
Alicyclobacillus acidocaldarius
Alicyclobacillus cycloheptanicus
Alicyclobacillus mali
Alicyclobacillus acidiphilus
Alicyclobacillus herbarius
Alicyclobacillus hesperidum
Propionibacterium cyclohexanicum
 

●耐熱性好酸性菌の主な静菌方法

①絶対好気性菌であることから、炭酸ガス圧入等により溶存酸素を減らす
②増殖温度下限(20℃)以下で流通・保管する
 
 
弊社では、社団法人 日本果汁協会発行「耐熱性好酸性菌統一検査法」に基づいた耐熱性好酸性菌の定量検査・定性検査が可能です。検査・相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせ下さい。
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参考文献
耐熱性好酸性菌統一検査法 ハンドブック .社団法人 日本果汁協会 , 2005年8月 

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