「さつまいも」の甘みは?⇒麦芽糖(マルトース)!!

「さつまいも」の甘みは?

10月から1月が旬の「さつまいも」ですが、最近は、年中スーパーの片隅で、「焼き芋」として販売されていますよね。家ではなかなか作れないほど、しっとりしていて柔らかく、とても甘い焼き芋。この甘さの正体をご存じでしょうか?その正体は、「麦芽糖(マルトース)」という糖類です。
 
麦芽糖(マルトース)
 

さつまいもを甘くするには?

掘り出したばかりのさつまいもには、麦芽糖はほとんど含まれていません。麦芽糖は、さつまいもに含まれるβ-アミラーゼという酵素の働きで「でんぷん」から作られます。このβ-アミラーゼの至適温度※は、60℃~65℃です。しかし、75℃を超えると働かなくなってしまいます。そのため、さつまいもをより美味しく食べるには、掘り出してからの保管方法と調理温度がとても大切です。
[保管方法]
①3~4日間天日干し(余分な水分を除く)
②新聞紙で包み、段ボールなどに入れる
13℃~15℃の、風通しの良い場所で1~2週間保管
(余分な水分を除く、カビの発生を防ぐため)
[調理温度]
しっかりと栄養と甘さを引き出す焼き芋をつくるなら、160℃~180℃のオーブンで約1時間じっくり焼くことがお勧めです。さつまいもの中心温度が60℃~65℃で30分以上となるようにするのがポイント!
※至適温度:酵素が最も元気よく働く温度のこと
 

調理法による麦芽糖(マルトース)の量を確認!

調理方法を変えて加熱したさつまいもの麦芽糖(マルトース)量をHPLCで分析しました。
調理方法は①蒸す、②焼く、③干すの3種です。
① 圧力なべで蒸す
②アルミホイルに包み、オーブンで火が通るまで加熱
③ 蒸した芋を天日干し(数日)
 
結果を表1に示します。生のさつま芋には、ほとんど含まれなかった麦芽糖(マルトース)が加熱することで増えました。また、増え方も調理方法で異なり、急速に温度が上がる蒸す調理法より、さつまいもの中心温度が高くなるまでに時間のかかるオーブンで焼く方が、麦芽糖(マルトース)の増加量が約2倍になりました。さらに干す場合は、β-アミラーゼの至適温度付近での調理時間が長い(数日間)ことと、さつまいもに含まれる水分も蒸発し減少するため、蒸すだけより約3倍の麦芽糖(マルトース)量になっていました(図1)。
 
麦芽糖(マルトース)表1図1
 

食品に含まれる栄養成分

いつも何気なく料理している食材も、調べてみると色々な栄養成分が含まれています。さつまいものように、調理方法で麦芽糖(マルトース)量の増え方が異なったり、ビタミンCのように水に溶けやすく熱に弱いものは、調理方法で食材からなくなってしまったり。調べてみると、面白い特徴をもった食材がまだまだあるかもしれません。興味のある方は、ぜひ弊社の分析を試してみてはいかがでしょうか!!
 
 
■糖類分析の詳細については、下記コラムをご参照ください☆
>>食品に含まれる糖類とは? – 食環境衛生研究所 (shokukanken.com)
 
■食環境衛生研究所では、6種の糖類分析(①グルコース、②フルクトース、③ガラクトース、④スクロース、⑤マルトース、⑥ラクトース)を行っております。栄養表示についてのご依頼やご相談などお気軽にお問い合わせください▼
>>栄養成分表示(食品表示法対応) – 食環境衛生研究所 (shokukanken.com)

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