『鯵(アジ)』と鮮度について|6月の旬食材シリーズ③

旬の食材、3回目は鯵です。鯵と言えば干物。そんなイメージが強いですが、皆さんはいかがでしょうか?干物だと年中スーパーに置かれているため、旬を感じることはないかもしれません。でも、鯵は6月の今が旬です。刺身やたたきで食べるには今です!!しかし、刺身やたたきで食べるには、鮮度が大切です。そこで魚の鮮度はどのように確認しているか、簡単にご紹介したいと思います。
 

鮮度とは?

魚の鮮度には2つの意味合いがあります。一つ目は、活きのよさである生鮮度として、二つ目は腐敗の度合いを表す鮮度としての意味です。鯵を刺身で食べるには活きのよさについての鮮度の確認が大切です。干物のように、鮮度保持※として加工した食品については、2つ目の腐敗度合いの鮮度を確認することが大切になります。
※鮮度保持:食品の劣化や腐敗を防いで新鮮な状態、品質の良い状態、美味しい状態を保つこと
 

鮮度の指標

魚の鮮度を表す指標はいくつかあります。活きのよさを目安にしたK値と、腐敗を目安にした物理学的,細菌学的,組織学的及び化学的方法があります。
 

K値

魚肉のATP関連化合物(核酸関連物質)は、死後、ATP→ADP→AMP→IMP→HxR→Hxの順に分解が進みます。K値はATP関連化合物全体に占めるHxRとHxの割合を示したもので、鮮度の指標としてよく用いられ、下記式で求められます。
 
K値
 
鮮度は「K値」が小さいほど良く、大きいほど悪くなります。
「K値」の一般的な指標
20%以下 刺身用
20%~50% 加熱用
60%以上 腐敗となり、食用としては不適
※K値の上昇速度は魚種によって大きく異なるため、生での可食限界をK値で示すには魚種ごとに確認が必要となります。
※分析は、高速液体クロマトグラフで行います。
 

硬直指数

魚は死後、硬直→完全硬直→ 解硬→軟化→腐敗と変化します。時間の経過とともに硬直して軟化する度合いを数値化したものが硬直指数です。魚を絞めた直後の体長を測定し、体長の1/2を机等から垂下させた致死直後の垂下長をLo、継時的に測定した垂下長 をLとし、下記の式により算出した値です。硬直の度合いが鮮度指標となります。
 
硬直指数|6月の旬食材シリーズ②
 

VBN(揮発性塩基窒素)

VBN(揮発性塩基窒素)とはアンモニア、トリメチルアミン等のことで、これらの物質は魚肉の鮮度低下に伴って、細菌や酵素の作用により増加することから、初期腐敗の指標として用いられます。
 

細菌数

一般的に、食品1g中の細菌数が100万~1億に達すると初期腐敗とされているため、細菌数を測定することにより、腐敗の進行度が把握確認できます。
 

鮮度保持について

鮮度保持に力を入れることで、商品価値を高めることができます。さらに、鮮度保持が効果的にできるようになれば、SGDsの目標にも掲げられている食品ロスを減らすことができ、社会貢献にもつながります。
弊社では、鮮度の指標で示したK値分析を含め、VBN(揮発性塩基窒素)、細菌検査を実施することができます。分析・検査を併用することで、食品の状態を正確に把握し、鮮度保持、鮮度管理に役立てていただけると幸いです。検査・分析についてご検討、ご相談は下記までお気軽にご連絡ください▼
 
K値はこちら → 『肉質検査
VBN(揮発性塩基窒素)はこちら → 『一般栄養成分
細菌検査はこちら → 『細菌・ウイルス検査
お問い合わせはこちら → 『お問い合わせ
 
引用

  • 生鮮水産物 平成19年3月 北海道水産林務部 鮮度保持マニュアル
  • >>070316鮮度保持マニュアル概要版(最終) (hro.or.jp)

  • 鮮度とは?
  • >>鮮度とは?

  • >>大型マス類の鮮度保持マニュアル (gifu.lg.jp)
  •  
     

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