【食品分析】分析業務に欠かせないものとは?

『分析業務に欠かせないもの。』と言われると、、、
高額な分析機器を一番に思い浮かべる人は多いのではないでしょうか?
もちろん、機器がなければ分析自体出来ないので、とても大切です。しかし、分析機器や装置を使う前に使用するものはたくさんあります。
さらに、分析業務といっても色々ありますが、食品の定量分析(食品中に含まれている成分や農薬の濃度を求める分析のこと)をしている私たちにとって、欠かせないものといえば、ガラス器具をはじめとした器具です。
良く使用する器具の一例をあげると。

  • ホールピペット
  • メスフラスコ
  • ナシフラスコ、ナスフラスコ
  • メスシリンダー
  • 凍結粉砕機、フードプロセッサー
  • ヒスコトロン ジェネレータシャフト
  • 遠沈管
  • 三角フラスコ
  • 冷却管
  • 試験管
  • パスツール
  • バイアル
  • 分液ロート
  • などなど、まだまだたくさんあります。
     
    私たち分析担当者は、これらの器具が常に使用できる状態であることが当たり前ではありますが、その当たり前を実現するのは簡単ではありません。
     

    <洗浄で注意すること>

    器具類は食事で使用する皿やコップと同じように、使用後は洗浄し、乾燥して再度使用するため、洗浄と乾燥はとても大切であり、とても大変な作業です。下記のことに注意して行っています。

  • 洗い残しなどで不純物が混入するようなことはあってはいけない。
  • 正確に測り取るための器具はブラシやたわしなどでこすって傷をつけてはいけない。
  • 変形を起こすような高温で加熱し乾燥してはいけない。
  • 乾燥していること、破損がないことを確認してから、器具庫へ保管する。
  • 器具庫保管時に破損しないよう、定められた場所に正しくしま収納する。
  • 上記のことを達成するため、分析センターでは、洗浄と乾燥に細かいルールがたくさんあります。器具ごとの洗浄ルール、乾燥方法、収納方法・収納場所を覚えるのは、機械の操作方法や分析手順を覚えるよりも大変かもしれません。あまりにもルールが細かく、多いのでここでの詳細は控えますが、そんな器具洗浄を分析業務をしながら同時に行うのは非常に大変です。
     

    <洗浄係さん♡>

    分析センターでは、器具の洗浄・乾燥を専門に行う「洗浄係」がいます。分析者は使用した器具を各洗浄用容器(洗面器です)に入れて置くことで、洗浄係がそれぞれにあった方法で洗浄をしてくれます。
    例えば、牛肉の抽出液を量り取ったホールピペット。これは、次の手順で洗浄します。
    1.中性洗剤のついたスポンジでホールピペットの周りを良く洗浄し、水道水で流します。
    2.ホールピペット全体が浸かるような容器に中性洗剤の水溶液を作り、30分以上浸漬します。
    3.中性洗剤に漬けたまま、30分間、超音波洗浄機にかけます。
    4.水道水で中性洗剤を良く洗い流し、再度別の中性洗剤(2度目用)をスポンジにつけ洗浄し、水道水で洗い流します。
    5.超純水でよくすすぎ、乾燥場所へ置きます。
    6.乾燥しているかよく確認します。(ガラス器具は透明なため、濡れているかわかりにくいです。特にホールピペットはわかりにくいので、1本、1本、蛍光灯に透かして確認し、さらに回転して確認する必要があります)
    このとき、器具が破損していないか、汚れが残っていないことを合わせて確認します。
    7. 指定の保管場所へ、保管時に破損しないよう正しく収納します。
     
    ホールピペットを例にあげましたが、メスシリンダー、遠沈管、ヒスコトロンのジェネレータシャフト、凍結粉砕機など、他の器具についてもそれぞれ別の洗浄方法があります。また同じホールピペットでも、牛肉のように油ものではない抽出液の場合は、別の洗浄方法となります。器具の種類や使用方法を考慮し、細かく注意しながら洗浄し、乾燥、確認、収納をしています。
    この他にも洗浄係は、私たち分析担当者が分析業務に集中できるよう、たくさんの業務を遂行しています。分析担当も洗浄係さんが洗いやすいように、危険な試薬に触れないように、十分配慮して洗い物を渡すように心がけています。

  • 訪問者対応
  • 試薬の受け入れ、記録、収納
  • 洗濯(来客用白衣、手拭き用タオル、雑巾など)
  • 検体の粉砕補助
  • 保管検体の整理、ごみ捨て
  • 使用済みバイアルの廃棄
  • ピペットのチップ詰め       などなど。
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    <かかせないもの・・・>

    器具類はすべて大切で、使用できる状態にしておくことが当たり前です。その当たり前を維持するには、洗浄係さんを中心に分析センター全員の努力と協力が必要です。
    どの分析会社でも大学の研究室でも、一人で分析や研究を進めていても、協力し合う場面はあるはずです。分析業務だけでなく、どんなことをするときでも欠かせないもの、、、考えてみてはいかがでしょう?
     

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