汚泥肥料の基本知識と効果を理解する

肥料分析を行っているこの頃、『汚泥肥料』という検体をよく目にします。
汚泥肥料とはどういったものでしょうか?
 

汚泥とは?

我々の生活排水やし尿、また、食品工業廃水には有機物や重金属などの様々な成分が含まれており、そのまま河川等に放流すると水質悪化や汚染を引き起こす可能性があります。
そのため、下水処理場や工場内の処理施設等で、排水中に含まれる環境汚染の原因となる様々な物質を、微生物による分解・吸着等により水を浄化します。
この浄化の過程で生成された、微生物の死骸を含む有機質の最終生成物が凝集して出来た泥状の固体が汚泥となります。
 
汚泥は、植物の栄養となる窒素やりん酸とともに重金属などの有害物質を含みます。下水処理場から定期的に運び出される汚泥中のこれらの成分の濃度は、処理する排水の量や排水中に含まれる汚染物質の濃度によって変化します。
この発生した汚泥は廃棄物として処理されますが、その一部はセメントの原料や汚泥肥料及び菌体りん酸肥料の原料として利用されています。
 
 

汚泥肥料とは?

汚泥を乾燥や粉砕、発酵させることにより肥料としてリサイクルするもので、近年、肥料原料価格の高騰により、汚泥の肥料原料としての利用が増えています。
汚泥肥料等は、植物に有益な窒素、りん酸などの栄養分を豊富に含みますが、排水に含まれていたカドミウムや水銀などの有害な重金属が微生物による処理や肥料製造工程によって濃縮し、高濃度になっている可能性があります。
そこで農林水産省は、汚泥肥料等中の有害重金属の基準を設定し、これを超える濃度の有害重金属を含む製品の生産・販売を規制するとともに、肥料の製造者がこれらの基準に従って適切に管理することを義務づけています。
 
>>汚泥肥料に関する基礎知識(一般向け)(農林水産省)
 
 

菌体りん酸肥料とは?

汚泥資源を原料として生産される肥料のうち、令和5年10月1日から、農林水産大臣の品質管理計画に基づいた公定規格「菌体りん酸肥料」により生産された肥料です。
これにより、更に肥料を流通させやすくなりました。

  • 保証成分として、りん酸全量を1%以上含むこと。
  • 原料は汚泥資源。また生産方法は汚泥肥料と同じ。
  • 汚泥肥料と異なり、普通肥料の原料に使用できる。
  • >>PDF「菌体りん酸肥料として肥料化しませんか?(農林水産省)」
     
    汚泥肥料には、このほか様々な種類の肥料や品質規格が定められております。
    >>PDF「公定規格の改正について(農林水産省)」
     
    今後も肥料の安全性基準を確保しつつ、生産される作物と食の安全を守って行きたいと思います。
     
     
    弊社では各種分析を取り扱っております。
     
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