甲殻類アレルギーの症状は?注意するべき食品や対策も解説
甲殻類アレルギーとは、エビやカニ、ロブスターといった甲殻類が原因の食物アレルギーのことです。甲殻類アレルギーの症状は軽度から重度のものまでさまざまあります。
軽度であれば皮膚のかゆみやのどの違和感といった症状がみられますが、重症なアナフィラキシーショックが起きた場合には命にかかわるため、医療機関で適切な対応をとる必要もあります。
そして、甲殻類アレルギーは子どもだけでなく、大人も突然発症する可能性があるアレルギーです。ある日突然甲殻類を食べたことでアレルギー症状が出ることも考えられるため、甲殻類アレルギーに対する知識をつけておくことも大切です。
当記事では、甲殻類アレルギーの症状や注意するべき食品、アレルギー症状を出さないための対策を解説していきます。
※甲殻類アレルギーの症状がみられた際には適切な処置が必要になることもあります。アレルギーが疑われる場合には、すぐさま医師に相談するようにしてください。
甲殻類アレルギーの主な症状!食べてから1時間以内に症状が出ることが多いため注意
甲殻類アレルギーは、エビやカニといった甲殻類の成分やエキスなどに体が反応し、アレルギーの症状が引き起こされます。食物アレルギーのなかでも甲殻類アレルギーは症状が強く出る傾向があると言われているため、症状が出ないように食べ物には注意が必要です。
そして、甲殻類アレルギーの症状は、軽度から重度までさまざまなものがあります。主な症状としては「皮膚症状」「口腔内症状」「呼吸器症状」「腹部症状」が挙げられます。
甲殻類アレルギーの症状が出るまでの時間は人によって変わります。甲殻類を食べてから数分で症状が出るケースもあれば、数時間経ってからみられることもありますが、多くの場合は1時間程度で症状がみられます。
そのため、エビやカニといった甲殻類を食べてから1時間程度経って、「皮膚に赤みが出た」「口に違和感がある」といった症状がみられた場合、甲殻類アレルギーが発症している可能性があります。
ここからは、甲殻類アレルギーの主な症状について、それぞれ解説していきます。
じんましんや赤みといった皮膚症状
甲殻類アレルギーの主な症状として、皮膚症状が挙げられます。甲殻類アレルギーの場合は約80%で皮膚症状が出ると言われることもあるため、甲殻類を食べた後に下記のような皮膚症状がみられた際には甲殻類アレルギーの可能性も疑ってみてください。
- じんましん
- かゆみ
- むくみ
- 湿疹(皮膚炎)
- 発赤
口やのどの腫れ・かゆみといった口腔内症状
甲殻類アレルギーの主な症状として、口や喉に現れる口腔内症状が挙げられます。甲殻類アレルギーの場合は約50%で口腔内症状が出ると言われることもあります。
甲殻類を食べた後に下記のような口腔内症状がみられた際には、甲殻類アレルギーの可能性を疑ってみてください。
- 口やのど、唇、舌に違和感がある
- 口やのど、唇、舌が腫れている
- のどの渇き
- ものが飲み込みづらい(嚥下機能の低下)
鼻水や息苦しさといった呼吸器症状
甲殻類アレルギーの主な症状として、呼吸器症状が挙げられます。甲殻類アレルギーの場合は約30%で呼吸器症状が出ると言われることもあります。
甲殻類を食べた後に下記のような呼吸器症状がみられた際には、甲殻類アレルギーの可能性を疑ってみてください。
- 鼻水や鼻づまりがある
- くしゃみが出る
- 繰り返し咳が出る
- 息切れがする
- ゼーゼーする(喘鳴)
腹痛や下痢といった消化器(腹部)症状
甲殻類アレルギーの主な症状として、消化器症状が挙げられます。腹部症状と呼ばれることもあり、甲殻類アレルギーの場合は約17%で症状が出ると言われることもあります。
ほかの症状よりも低い割合ではありますが、消化器症状は甲殻類アレルギーの主な症状として挙げられやすいです。そのため、甲殻類を食べた後に下記のような消化器症状がみられた際には、甲殻類アレルギーの可能性も否定はできません。
- 腹痛
- 下痢
- 吐き気
- おう吐
- 胃が震えている感覚がある(胃痙攣)
甲殻類アレルギーはアナフィラキシーを起こす可能性もある
前述したように、甲殻類アレルギーの症状は軽度から重度までさまざまです。場合によっては甲殻類を食べたことで重度の症状が出てしまう可能性もあります。
この症状を「アナフィラキシー」と呼び、アナフィラキシーは命の危険にもつながる症状です。甲殻類アレルギーによるアナフィラキシーの場合、とくにエビが原因になりやすく、日本アレルギー学会が公表している「アナフィラキシーガイドライン2022」では、主な原因としても挙げられています。
場合によっては、医療機関での適切な対応が必要になる「アナフィラキシーショック」が起きる可能性もあるため、甲殻類アレルギーの疑いがあるのであればカニやエビといった甲殻類は避けるべきです。
なお、甲殻類アレルギーによるアナフィラキシーは甲殻類を食べてから数分〜数十分程度でみられる傾向があり、症状としては下記などが挙げられます。
- じんましんや皮膚の赤み
- まぶたの腫れ
- おう吐
- 喉のかゆみ
- 不安感やめまい
- 顔色が青白くなる(顔面蒼白)
- 唇の色が悪くなる(チアノーゼ)
- 呼吸困難
- 冷や汗や意識障害
命に関わる可能性もあるため、万が一このような症状がみられた場合には救急車を呼ぶなど速やかな対応をとるようにしてください。
甲殻類アレルギーの症状は甲殻類に触れただけで起きることもある
甲殻類アレルギーは、アレルギーの原因となる甲殻類を食べることで症状が起こると考えている人もいるかもしれません。しかし、甲殻アレルギーの症状は、エビやカニといった甲殻類を触るだけでも現れることもあります。
これは、甲殻類の汁やエキスが皮膚から吸収されることでアレルギー症状がみられます。この場合、皮膚の赤みや腫れ、かゆみといった皮膚症状が出る傾向があります。
そのため、甲殻類アレルギーの疑いがある場合は、カニやエビといった甲殻類を直接触ることも避けたほうがよいでしょう。甲殻類に触る必要がある場合、体内に汁やエキスが入るのを防ぐためにも、手袋などをつけるようにしてみてください。
甲殻類アレルギーの人が注意するべき食品の例
甲殻類は料理に直接具材として使われているだけでなく、調味料などとしても用いられることもあります。そのため、甲殻類アレルギーがある場合、カニやエビといった甲殻類を避ければアレルギーを絶対に予防できるというわけではありません。
ここからは、甲殻類アレルギーの人が注意するべき食品を紹介していきます。甲殻類アレルギーを予防するためにも、ここから紹介する食品は避けるようにしてみてください。
エビやカニといった甲殻類を含む加工食品
甲殻類アレルギーがある場合、エビやカニといった甲殻類を含む加工食品は避けましょう。甲殻類を含む加工食品の例としては下記が挙げられます。
加工食品の例 | 理由 |
カップラーメンやカップスープ | エビやカニのエキスが使用されている可能性があるため。 |
かに風味のかまぼこ | カニのエキスが使用されている可能性があるため。 |
シュウマイや餃子 | エビやカニが使用されている可能性があるため。 |
えびせんべい | エビが使用されている可能性があるため。 |
お好み焼きやたこやき | だし汁としてエビやカニが使用されている可能性があるため。 |
たとえ食品名にエビやカニといった甲殻類が入っていないものであっても、原材料として甲殻類が使われている可能性はあります。甲殻類アレルギーがある場合、甲殻類が使われていないかを加工食品の原材料から確認することも大切です。
中華料理屋などの甲殻類を使用する飲食店で調理された料理
甲殻類アレルギーがある場合、甲殻類の汁やエキスを少量食べただけでもアレルギー症状が出る可能性があります。そのため、甲殻類が使用されている飲食店で調理された料理も避けたほうがよいケースもあります。
たとえば、中華料理屋や韓国料理屋ではエビやカニといった甲殻類が使用されることが多いです。甲殻類が使用されていないと思っていても、調味料として使用されていたり、調理器具を経由して汁やエキスが入ってしまったりすれば、甲殻類アレルギーの症状が出るリスクがあります。
甲殻類アレルギーの症状は大人になってから起こることもある
食物アレルギーは先天性だけではなく後天性に発症するケースも少なくありません。甲殻類アレルギーも同様で、「子どもの頃は問題なく食べられたけど、大人になってから急にアレルギー症状が出た」という可能性もあります。
実際に、厚生労働省が公表している「食物アレルギー」でも、成人のアレルゲンとして最も多いのがエビやカニとされています。そのため、今までは問題なく食べられたとしても、突然甲殻類アレルギーの症状が起きる可能性も否定できません。
もしも甲殻類を食べた際に、皮膚や口腔内などに症状がみられた際には甲殻類アレルギーの疑いを持つことも大切です。その際には、医療機関を受診することを検討してみてください。
甲殻類アレルギーの症状を出さないための対策
甲殻類アレルギーの症状を出さないための対策として下記を講じてみてください。
- 甲殻アレルギーであるかを医療機関で検査してもらう
- 食べる前に甲殻類が含まれていないかを確認する
ここからは、甲殻類アレルギーの症状を出さないための対策について解説していきます。
甲殻アレルギーであるかを医療機関で検査してもらう
場合によっては、甲殻類アレルギーかどうかがわからない人もいるかもしれません。甲殻類アレルギーがあるのかがわからなければ、対策を講じづらいため、疑いがある場合には医療機関で検査をしてもらうようにしてみてください。
医療機関で検査をしてもらうことで、甲殻類アレルギーがあるのかどうかを調べてもらえます。
なお、甲殻類アレルギーがあったとしてもアレルギーの原因は人によって異なるため、「甲殻類全般で症状が出る」「エビだけ症状が出る」のように反応も変わります。
医療機関でアレルギー検査を受けておくことで、「甲殻類すべてを避けるべきか」「食べられる甲殻類もあるのか」がわかり食事の幅を必要以上に狭めることもなくなります。
食べる前に甲殻類が含まれていないかを確認する
甲殻類アレルギーがある場合、症状を出さないために原因となる甲殻類は避けなければなりません。そのため、食べるものは事前に甲殻類が含まれていないかをチェックしておくことが大切です。
たとえば、加工食品の場合は使用されている原材料が記載されています。加工食品を食べる場合は、事前に原材料の欄から甲殻類が入っていないかを確認しておきましょう。
また、外食する場合には、甲殻類が使われていないメニューを選ぶことが大切です。甲殻類が使われているかがメニュー表ではわからない場合、店員の方に確認するようにしてみてください。
まとめ
甲殻類アレルギーの症状は軽度から重度までさまざまあり、主な症状として「皮膚症状」「口腔内症状」「呼吸器症状」「腹部症状」が挙げられます。皮膚のかゆみや赤みといった軽度の症状もありますが、「アナフィラキシーショック」という重篤な症状が出ることもあります。
命にもかかわる可能性もあるため、甲殻類アレルギーの場合にはエビやカニといった甲殻類を避けるべきです。
なお、甲殻類アレルギーは大人になってから急に発症することもあります。甲殻類アレルギーが発症した場合、今までは問題なく食べられた甲殻類を今後は避けなければなりません。
まずは医療機関でアレルギー検査をしてアレルゲンを特定したうえで、今後はその食べ物を避けて食事をする必要があります。