ナッツアレルギーの症状は?とくに気をつけるべきナッツや症状が出ないための対策
ナッツアレルギーとは、クルミ・アーモンド・カシューナッツといったナッツ類が原因で起こる食物アレルギーのことです。
ナッツアレルギーがある場合、摂取してから15分〜2時間程度で症状がみられることが多く、主には「皮膚症状」「粘膜症状」「呼吸器症状」「消化器(腹部)症状」という症状が現れます。
多くの場合には「かゆみ」「じんましん」といった皮膚症状が現れますが、重篤な症状である「アナフィラキシーショック」が起きる可能性もあります。命にかかわることもあるため、ナッツアレルギーが疑われる場合には医療機関でアレルギー検査をするなどの対策を講じておくことが大切です。
また、ナッツアレルギーの症状を出さないためにも、どのような食べ物を避けるべきかを理解しておくことも大切です。
当記事では、ナッツアレルギーの症状や注意するべき食品の例、アレルギー症状を出さないための対策を解説していきます。
※ナッツアレルギーの症状がみられた際には適切な処置が必要になることもあります。アレルギーが疑われる場合には、すぐさま医師に相談するようにしてください。
ナッツアレルギーの症状はさまざま!多くの場合は15分〜2時間以内に症状が出るため注意
ナッツアレルギーは、クルミやカシューナッツ、アーモンドといった木の実類に属する食品を食べた際に発症するアレルギーです。ナッツアレルギーの症状は原因となる食品を食べてから15分〜2時間程度で現れることが多く、その症状にはさまざまなものがみられます。
ナッツアレルギーの主な症状としては、「皮膚症状」「粘膜症状」「呼吸器症状」「消化器(腹部)症状」が挙げられ、場合によっては「アナフィラキシーショック」と呼ばれる重篤な症状が起こるおそれもあります。
なお、食べたナッツ類の量や体調などによって、ナッツアレルギーの症状は異なります。そのため、ナッツアレルギーの症状として4つの例を挙げましたが、必ずすべての症状が同時にみられるわけではなく、症状が軽度で済むケースもあります。
とはいえ、クルミなどのナッツ類はアナフィラキシーを引き起こすリスクが高い食品であるため、ナッツアレルギーの疑いがある場合には注意をしなければなりません。
また、近年ナッツアレルギーの割合は増加傾向にあり、消費者庁が公表している「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」では、食物アレルギーの原因食物のなかでナッツ類は3位にまで増えたとのことです。
ナッツアレルギーは大人になってから発症する可能性があるアレルギーです。ナッツ類を食べたことでアレルギーのような症状がみられた場合、医療機関を受診するようにしてください。
かゆみやじんましんといった皮膚症状
ナッツアレルギーの主な症状として、皮膚症状が挙げられます。症状の程度は食べたナッツの量やそのときの体調などによって変わりますが、ナッツアレルギーを発症した場合には下記のような皮膚症状がみられます。
- 皮膚のかゆみ
- じんましん
- 皮膚のあかみ
- 血管浮腫
口内のかゆみや鼻水といった粘膜症状
ナッツアレルギーの主な症状として、粘膜症状が挙げられます。粘膜症状は目・鼻・のどなどに現れる症状で、ナッツアレルギーの粘膜症状の例としては下記が挙げられます。
- 口内のかゆみや違和感
- 唇の腫れ
- 鼻水や鼻づまり
- くしゃみ
- 目のかゆみや充血
のどの違和感や息苦しさといった呼吸器症状
ナッツアレルギーの主な症状として、呼吸器症状が挙げられます。呼吸器症状はのどや気管などに現れる症状で、ナッツアレルギーの呼吸器症状の例としては下記が挙げられます。
- のどのかゆみや違和感
- のどのしめつけ
- ゼーゼーする(喘鳴)
- 息切れ
- 呼吸困難
腹痛や吐き気といった消化器(腹部)症状
ナッツアレルギーの主な症状として、消化器症状が挙げられます。お腹に現れる症状であるため腹部症状と呼ばれることもあり、ナッツアレルギーの症状としては主に下記が挙げられます。
- 気持ち悪さ
- 吐き気
- おう吐
- 腹痛
- 下痢
- 血便
ナッツアレルギーの人が気をつけるべきナッツ類
ナッツアレルギーを発症した場合でも、ナッツ類のすべてが原因食品になるとは限りません。そのため、「ナッツアレルギーだからといってナッツ類全てを除去する必要はない」とも言われることもあります。
しかし、ナッツアレルギーが疑われる場合、原因食品が特定できていないのであればナッツ類を食べるのは控えるべきです。ナッツ類には微量であっても重篤な症状を引き起こすものもあるためです。
消費者庁が公表している「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」では、即時型食物アレルギーの原因食物のなかでもショック症状が発生する頻度が高かった木の実として下記が挙げられています。
- クルミ
- カシューナッツ
- アーモンド
- ピスタチオ
- マカダミアナッツ
- ペカンナッツ
ショック症状を引き起こす可能性があるため、ナッツアレルギーの原因食品が特定できていない場合には上記の木の実に注意が必要です。
とくにクルミについては加工商品でのアレルギー表示が義務化されており、近年アレルギー症状が増加傾向にあるカシューナッツも表示義務が検討されています。ほかのナッツ類にも注意が必要ですが、ナッツアレルギーが疑われる場合にはクルミとカシューナッツにはとくに注意が必要といえます。
ナッツアレルギーの人が注意するべき食品の例
ナッツ類は単体で食べられることも多いですが、調味料などにも使用されることも少なくありません。そのため、ナッツアレルギーが疑われる場合には、「ナッツ単体を食べるのを避ける」という対策では不十分といえます。
以下は、ナッツ類が含まれている可能性がある食品の例です。
具体例 | |
---|---|
主食 | ・パン ・グラノーラ ・カレー ・イタリア料理全般(ソースに使用されることがあるため) など |
調味料 | ・サラダのドレッシング ・味噌 ・カレー粉 など |
和菓子 | ・餅 ・ようかん ・まんじゅう ・どら焼き など |
洋菓子 | ・クッキー ・チョコレート ・アイスクリーム ・フィナンシェ ・マカロン など |
飲み物 | ・アーモンドミルク ・ココナッツミルク など |
このように、ナッツ類はさまざまな食べ物や飲み物に使用されています。そのため、ナッツアレルギーが疑われる場合には、ナッツ類が使用されていないかどうかを注意深く確認することが大切です。
ナッツアレルギーの人は豆科のピーナッツにも注意が必要
ピーナッツは名前に「ナッツ」とあることから、木の実類に分類されると考えるかもしれません。しかし、ピーナッツは豆科の食品であるため、ナッツ類とは種類が異なります。
とはいえ、ナッツアレルギーが疑われる場合、ピーナッツにも注意が必要です。必ずではありませんが、ナッツアレルギーがある場合にはピーナッツに対してもアレルギー症状が出るケースがあるためです。
「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」では、ピーナッツ(落花生)は即時型食物アレルギーの原因食物として第5位に挙げられており、クルミと同様に加工商品でのアレルギー表示が義務化されています。
アメリカでは3大アレルゲンとしても挙げられる食品であるため、ナッツアレルギーの原因食品が特定できていない場合、ピーナッツを食べることも基本的には避けるべきといえます。
大人になってから発症したナッツアレルギーが自然に治ることはほとんどない!症状が出ないように心がけること
ナッツアレルギーのような食物アレルギーは、先天性だけではなく後天性に発症することもあります。子どもだけでなく大人も突然ナッツアレルギーを発症する可能性があるのです。
そのため、「いままでは問題なく食べられたけど、大人になってから急にナッツアレルギーの症状が出た」というケースも考えられます。
そして、卵や牛乳でも同様に言われますが、ナッツアレルギーは改善しにくいアレルギーです。アレルギーと知らないまま過ごすと、ナッツ類を食べた際にショック症状が出てしまうリスクもあるため、アレルギーが疑われる場合には症状が出ないように下記のような対策を講じるのが大切です。
- 食べる前に食品表示を確認しておく
- 医療機関で検査を受けてアレルギーのあるナッツ類を特定する
ここからは、ナッツアレルギーの症状が出ないように心がけることについて解説していきます。
食べる前に食品表示を確認しておく
ナッツアレルギーが疑われる場合にはナッツ類の摂取を避けるべきです。しかし、食べ物や飲み物にナッツ類が使われているかがわからなければ、摂取を避けることは難しいです。
前述したように、ナッツ類はさまざまな食べ物や飲み物で使用されています。そのため、ナッツアレルギーが疑われる場合、食べ物や飲み物を摂取する前に食品表示を確認しておくことが大切です。
クルミやピーナッツであれば表示が義務付けられているため、食品表示の欄を見れば使用されているかを確認できます。
しかし、ナッツ類のなかには表示が義務付けられていないものもあるため、ナッツ類が使用されている可能性が少しでもある場合、店員の方にその旨を尋ねたうえで食べ物や飲み物を購入するのがよいでしょう。
医療機関で検査を受けてアレルギーのあるナッツ類を特定する
ナッツアレルギーといっても、すべてのナッツ類が原因食品になるとは限りません。原因食品でないのであれば摂取をしてもアレルギー症状は起こらないため、ナッツアレルギーの疑いがある場合、原因食品を特定するためにも医療機関で検査を受けることが大切です。
医療機関でアレルギー検査をしてもらうことで、どのナッツ類が原因食品であるかを調べてもらえます。食事の幅を必要以上に狭める必要がなくなるケースもあるため、医療機関でアレルギー検査を受けることも検討してみてください。
まとめ
ナッツアレルギーの症状にはさまざまなものがあり、主な症状として「皮膚症状」「粘膜症状」「呼吸器症状」「腹部症状」が挙げられます。多くの場合はかゆみやじんましんといった皮膚症状が起こりますが、場合によっては「アナフィラキシーショック」という重篤な症状が出るおそれもあります。
重篤な症状が出れば命にもかかわる危険性があるため、ナッツアレルギーの疑いがある場合には、ナッツ類を食べるのは避けましょう。とくに、クルミやカシューナッツ、アーモンドはアレルギー症状が出やすいナッツ類として挙げられるため、これらは避けたほうが無難でしょう。
なお、ナッツアレルギーは大人になってから突然発症するケースもあります。その場合、アレルギー症状を出さないためにも、どのナッツ類を避けるべきかを理解したうえで、その原因食品が入っていない食べ物や飲み物を選ぶことが大切です。
ナッツアレルギーが疑われる場合、まずは医療機関でのアレルギー検査でアレルゲンを特定することを検討してみてください。そして、アレルゲンが特定できた後は、そのナッツ類が入っていないかを食品表示などで確認したうえで食事をするようにしてみてください。