カビ毒を産生するカビについて

カビ毒の産生過程とは

カビが食品に付着し、カビの生育に適した温度や湿度等の条件がそろうと増殖していきます。増殖の過程でカビは栄養分を取り込み、カビ毒の生成に適した温度・湿度が整うと代謝産物の1つとしてカビ毒が作られます。カビ毒は、熱に強いものが多いため、その後の環境の変化や加熱等によりカビ毒を作ったカビが死滅しても、カビ毒は食品中に残存する場合が多いことが知られています。1)
 
カビ毒の産生過程
 

注意が必要なカビ

カビ毒を生産するカビの中でも注意が必要なカビは、アスペルギルス(Aspergillus)属、ぺニシリウム(Penicillum)属、フザリウム(Fusarium)属の3種類に属するカビの一部です。
その中でも、フザリウム属菌は畑などで麦をはじめ多数の植物に寄生する植物病原菌として知られています。この菌の感染した植物を食べることによって、わが国においてもアカカビが発生し土壌、麦などの植物、汚水などに分布し、一部の菌種はトリコテセン毒素という刺激性の強いカビ毒を産生します。3)
トリコテセン毒素を産生するカビ毒の一連の化合物(構造によりタイプA及びタイプBに分類される)やゼアラレノンがその代表格として知られています。
 
 
タイプAトリコテセン
 
タイプAトリコテセン

化合物R1R2
T-2トキシン(T-2)OAcCOOCH2CH(CH3)2
HT-2トキシン(HT-2)OHCOOCH2CH(CH3)2
ジアセトキシスシルペノール(DAS)OAcH
モノアセトキシスシルペノール(MAS)OHH
ネオソラニオール(NES)OAcOH

 
タイプBトリコテセン
 
タイプBトリコテセン

化合物R1R2R3
ニバレノール(NIV)OHOHOH
デオキシニバレノール(DON)OHHOH
フザレノン-X(FUX)OHOAcOH
3-アセチルデオキシニバレノールOAcHOH
15-アセチルデオキシニバレノールOHHOAc

 
ゼアラレノン(ZEN)
 
引用文献
>>1.東京都健康安全研究センター, くらしの健康 知っていると安心, 2005年6月, 第8号, p.2, (online),
>>2.東京都保健医療局, 食品衛生の窓, フザリウム, (online),
 
参考文献
>>3.農林水産省, いろいろなカビ毒, (online),
 
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