オクラトキシンAについて解説!健康への悪影響は?

はじめに

オクラトキシンA(OTA)は、1960年代の初めに南アフリカにおける病因不明の疾患に関する調査研究の過程において、毒素産生かびの探索中にトウモロコシから分離されたAspergillus ochraceus(2004年にA. westerdijkiaeと再同定)の代謝産物として発見され、1965年に単離及び構造決定がなされています。
また、OTAは、ジヒドロイソクマリンの基本骨格に、7位のカルボキシル基を介してフェニルアラニン分子がアミド結合した化合物です。1)
 
オクラトキシンA
 

オクラトキシンの健康への影響

OTAの構造にあるフェニルアラニンはアミノ酸であるため、OTAはその代謝に拮抗しタンパク質合成を抑制し、毒性を表すと考えられています。OTAの毒性については、腎臓に強い毒性を示すことが動物実験で確認され、腎臓の近位尿細管への細胞毒性と発がん性があげられます。
また、げっ歯類では腎毒性を引き起こす用量よりも高用量で、発がん性が認められます。遺伝毒性試験でも陽性結果が報告されました。しかし、発がんのメカニズムは明らかになっていません。2)
 

リスク管理状況(管理基準)

☆国際機関及び諸外国
Codex3)

食品基準値(μg/kg)
小麦5
大麦5
ライ麦5

 
EU3)

食品基準値(µg/kg)
未加工穀類5.0
穀物加工品3.0
ベビーフード・乳幼児用穀類加工品0.50
干しブドウ(種なしブドウ、レーズン、黄色種なしブドウ)10.0
焙煎コーヒー豆、挽き焙煎コーヒー豆5.0
水溶性コーヒー(インスタントコーヒー)10.0
ワイン(スパークリングワインを含む、アルコール度数15%以上のワインとリキュールを除く)と果実ワイン2.0
アロマワイン、ワインを原料とした飲料、アロマワインのカクテル2.0
ブドウジュース2.0

その他の食品にも設定あり
 
中国4)

食品基準値(µg/kg)
穀類(水稲の玄米)5.0
粉砕穀類製品5.0

 
韓国4)

食品基準値(µg/kg)
小麦5.0
大麦5.0
ライ麦5.0
コーヒー豆、焙煎コーヒー5.0
インスタントコーヒー10.0
みそ20
チリパウダー7.0
ブドウジュース、ワイン2.0
ドライフルーツ10.0
乳幼児用食品0.50

 
台湾4)

食品基準値(µg/kg)
米、トウモロコシ、小麦、その他の穀物、原料※5.0
直接消費用の穀類加工品3.0

その他の食品にも設定あり
※:選別または加工/処理されていない原料
 
引用文献
>>1.食品安全委員会 かび毒・自然毒等専門調査会, 資料1 かび毒評価書(案) オクラトキシンA, (online),
>>2.食品安全委員会, オクラトキシン, (online),
>>3.食品安全委員会, 資料4-2 諸外国等のオクラトキシン A に関する基準値設定状況, (online),
>>4.(c)農林水産省, 食品安全に関するリスクプロファイルシート(化学物質), 2017年1月24日, (online),
 
参考文献
>>5.農林水産省, いろいろなカビ毒, (online),
 
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