カンピロバクターについて

「カンピロバクター」 は、ヒトの食中毒の原因として代表的な細菌の一つであるといえます。今回、「カンピロバクター」の話題を取り上げるのは、代表的な食中毒菌の中でも、取り分け本属菌による食中毒発生件数が増加傾向にあるからです。

代表的な食中毒菌としては、「サルモネラ属菌」 「黄色ブドウ球菌」 「腸炎ビブリオ」 「病原性大腸菌」 などが挙げられます。
過去10年の国内における食中毒発生件数の推移を見ると、「カンピロバクター」 の件数が増加傾向にあることがわかります。平成13年には、それまで最も多かった 「サルモネラ属菌」 を上回り、平成15年以降は常に第1位を占めています。

「カンピロバクター」 と聞くと、まずは、鶏肉を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
確かに鶏料理を介した感染が最も多く、次いで、その他肉料理、牛レバー刺しとなります。但し、本属菌は、家畜、家禽、野生動物の消化管などに生息しており、河川や下水などからも検出されています。
ヒトへは、菌に汚染された食品や飲料水を介して感染するほか、保菌動物との接触によっても感染するようです。

このようにカンピロバクターは、環境中に広く分布しており、このことが制御を困難にしている原因の一つとして考えられています。
また、本邦においては、食肉を生や不完全加熱調理のまま食べる習慣があるために、リスクは、ことさら高くなることと考えられています。

大まかに言えば、食品の加熱と2次汚染の防止の徹底という一言に尽きます。
鶏を例に考えると農場レベルでの衛生管理の徹底、菌定着の阻止、処理場内、カット工場内での器具やヒトを介した交差汚染の防止などが対応策として考えられます。しかしながら、鶏の場合、糞便による体表汚染が生じやすいことや、腸管などの破損が起こりやすいこと、皮付きで処理されることなど、牛・豚と比較して汚染の可能性が高く、新たな概念の微生物防御法の開発が待たれている状況のようです。

家庭・個人レベルの対策としては、基本的な衛生管理(十分加熱するなど)に注意し、生食などをなるべく避けるといった、対策が考えられます。冬の間は、比較的に発症件数は低いのですが、生肉などを取り扱う際には、十分意識して携わるように心がけましょう。

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