記録の付け方

近年食品業界でもISO9001やISO22000を取得している企業が増えています。大半の取得された企業は、外部に対しての信頼を得て取引を優位にしています。しかし、大半の企業はそこまでです。つまり、取得することにより企業本来の基盤をよりよく改善し、熟成させている企業は無いに等しい、と感じられます。このままでは、大半の企業が取得した場合、『外部に対しての信頼』という優位性は薄れていくでしょう。

このことは、クレームが生じ、原因究明のため記録書を確認させていただいたときによく感じます。このような企業には共通して取得して数年経っているのに、記録書の更新が無い、さらに、追跡調査を行ってみても、追跡できないという問題が発生しています。

理由として、記録者からは『作業が大変な上に書類がたくさんあって大変だ』という言葉をよく聞きます。その理由にISO取得には、コンサルタント会社が入って指導してくれますが、実際はISOそのものの専門であって、それぞれの企業の専門ではないということを忘れてはいけません。どうしても、取得時には、企業として運用する上で過剰な記録書が出てしまいがちですが、実際に運用するうえで、不備、過剰があれば自らで常時改善していかなくてはなりません。

また記録書を改善しても、記録者にその記録する意味を理解させていないことも問題です。記録者は、『書くこと』が仕事になってしまい、不適合が発生してもそのまま記録し、原因の究明や改善はされないままになっています。書類には、『不適合の場合は、上司に報告すること』と記載があり、また、確認印まで押してあるにもかかわらずです。確認者も『確認する』ための捺印ではなく、『捺印が仕事』になっているために生じた問題です。

これらの発生を防ぎ、ISO本来の目的である経営基盤の改善・熟成、ひいては顧客要求を満たすためには、まず経営者自らが、なぜこの記録書が必要なのか、この記録書によって会社内外で起こっている事故に対して、追跡調査できるかなど常に問題意識を持ち続け、自らの強いリーダーシップで、継続的な改善を実行し、その重要性を全社員が認識できるような社内コミュニケーションの活性化を実現していくことが重要です。

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