偽装表示や賞味期限
「メディアの報道の中では、「食の安全」を脅かすメーカーのずさんな体制とよく報じられています。一部の大腸菌群の検出事件は除き、報道の「食の安全」の脅かしというよりは、ほとんどの事件が「ごまかし」や「詐欺」の類です。
一連の事件は実際に健康被害を訴える消費者が現れているわけではありませんので、「ごまかし」や「詐欺」といような行き過ぎた営利主義的なメーカーの商売モラルの低さを露呈しているに過ぎません。
賞味期限に関しても、消費者の立場からすれば「この期限を過ぎた物は、メーカー側は保証しませんので廃棄してください。」というような感覚で捉えている期間をメーカー側が勝手に期限を付け替えて再販しているのですから、消費者が怒るのも当然です。
しかし、大方のメーカー経営者側からすれば「期限を過ぎても味も変わらなければ、危険性もないものと考えているから期限の張り替えによって期限を延期したところで消費者に不利益を被らせる事はない」と考えており、そもそもその事(張り替え)自体を「ごまかし」であると認識していなかったのではないでしょうか。
これは私のイメージですが、「食難時代(戦争時・戦争直後)の経験」とか「食糧自給率問題(輸入主体の食糧確保)」を取り上げ、業界の中で横行している期限によって設定している賞味期限の超過より、食品を廃棄する事こそが「悪」であると主張するメーカーの経営者は実際に多いのではないでしょうか。
それであれば、尚更、業界で横行している短い期限設定よりもきちんと科学的な根拠(微生物検査や自社内モニターによる官能検査)に基づき期限設定をすれば必然と期限は長くなると思います。大体において、食品の保存技術は冷蔵、冷凍、缶詰、レトルト殺菌、真空包装、脱酸素剤などと如何に食品寿命を延命するかに投じてきた長い歴史があるではありませんか。
私自身も、折角食せる製品を「印字ミス」等で保健所に摘発され、製造記録等でそれをトレースすれば、それがミスであるかどうかが判明する食品を、ろくに調べもせずに「廃棄命令」の一言で解決している現場を目にすれば「勿体無い」と感じます。「廃棄」が勿体無いと感じるのは誰もが一緒であると思いますし、「資源の無駄な損失」であると思います。
だからこそ、きちんと科学的な根拠に基づいたデータにより、自社で作られた製品は他社よりも衛生的に秀でた物である事をきちんとアピールすれば、業界の考え方や意識も変わり、消費者イメージも変わるのではないでしょうか。