クレーム対応

2007年は年末に発表された漢字『偽』の根底となった大手老舗和菓子の賞味期限改ざん、大手食肉販売店の食肉偽装事件、老舗料理店の産地偽装と食にまつわる偽装が明るみに出た年でした。また、偽装が明るみになったときの、経営陣の責任のなすりあいなどの対応の悪さで、消費者は食に対してさらに『疑』を募らせています。そのため、行政によせられる苦情・問い合わせの件数も前年の2倍以上に達しました。

クレームを専門に処理する部門を設けている企業も増えていますが、そこに配属される方々は、クレームを『消費者からの嫌がらせ・迷惑ごと』と捉え、お客様との対応も感情のない事務的なマニュアルを読んだだけの対応になり、さらに消費者の企業に対する不信を募らせる結果になっている場合が多いように思えます。しかし、苦情は、考え方を変えると、直接、客様の話を聞くことができることで、製品・サービスの品質向上、商品開発や利益を生み出す『助言』として考えることも出来ます。

そのような仕組みを構築する一つとしてISO10002があります。ISO10002は『苦情対応』に関する国際規格です。この規格は、透明性、アクセスの容易性、対応性、客観性、料金、機密保持、顧客中心のアプローチ、説明責任、継続的改善の9原則からなり、トップマネジメントが示す、コミットメントを基礎としながら、PDCAマネジメントサイクルを構築し、運用していくシステムです。また、この規格は、他のISO90001やISO14001のような審査登録機関による第三者認証制度は存在せず、組織自ら適合の成果をはかり、維持、改善をしていくための規格です。

この規格のメリットは、体系だった苦情対応プロセスを構築することで、苦情をスピーディーに解決でき、苦情によって得られた情報は、製品及び工程の改善につながります。また、責任が明確になり、責任のなすりあいがなくなり、対応者もお客様重視の対応ができます。

食品業界にとって、日々の製品やサービスの品質向上に努めていても、製品の特性上、苦情を完全に避けることは不可能でしょう。そのため、企業側は、苦情を避けるのではなく、積極的に受入れ、企業活動の中で活用していく仕組み作りが今後はさらに求められていくと思います。

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