加害者にならないために

「危機管理」は災害や、戦争など国際紛争など国家レベルの事象に関してよく使われていました。今日では様々な分野にもこの言葉が使用されています。食品業界においても、一極集中化、大量生産化に伴い、不祥事に関わる回収廃棄などの経費が膨大になることから、近年大きく取り立たされております。連日の食品業界における不祥事はこの危機管理の意識が浸透していないことに起因しているのではないでしょうか。

危機管理では、事故は必ず起こるということを前提にして、日頃から、「危機の察知、回避、対処、復元の各段階に対する組織、行動」を訓練として持つ必要があります。これは経営者のみならず、現場で働く従業員の皆さんの意識の高さが何よりも重要となります。

危機管理と密接な関係にあるのが製造物責任法(PL法)です。PL法では、製造業者等が自ら製造,加工,輸入又は一定の表示をし,引き渡した製造物の欠陥により他人の生命,身体又は財産を侵害したときは,過失の有無にかかわらず,これによって生じた損害を賠償する責任があることを定めています。つまりは、自分の手にした商品に関わる責任が自らにあるということで、当然の如く、食中毒を起こしてしまった場合、製造業者は加害者となってしまいます。

では加害者にならないためには何をすべきか。とても簡単なことです。今行っている作業の先に消費者を常に感じることにあると思います。自分にとって大事な人、家族や恋人が今自分が手にしている商品を食べている姿を想像してみてください。おいしいと言ってくれる人を想像してみてください。その人たちのために、何ができるのか、何が安全で、何が安心か、そのことを考えることが現場における危機管理であると固く信じております。

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