トレーサビリティシステム

トレーサビリティシステム(生産履歴追跡システム)の存在は皆さんもご存知でしょう。トレーサビリティシステムとは、そもそも生産段階で各食品を識別できるIDを食品ごとに付与して、生産、流通、加工、販売の各段階における各種情報を記録しておき、そのIDを元に、インターネットなどを使ってその食品の流通経路をトレース(追跡)できるようにするシステムです。

このシステムを導入することにより、万が一食品に問題が発生した場合、どのような生産や流通経路をたどったかを即座に知ることができ、これからの食品衛生対策において、非常に有効な手段であると考えられています。また、今までは消費者は企業から与えられたブランド性や情報を信用するしかありませんでしたが、生産の履歴情報を把握することが出来るようになるため、企業のモラルハザードを未然に防ぐことが期待できます。さらに、消費者が履歴情報を確認することにより、食品の選択の幅が広がるという利点が挙げられます。

現在、そのシステム導入が義務付けられているのは「牛肉」のみです。しかし、システムの有効性から、トレーサビリティを構築したい企業などのために、農林水産省が導入のためのガイドラインを作成しています。さらに、ウナギの産地偽装問題をうけ、消費者行政強化に向けた政府の行動計画案の中に、食品全般を対象として流通経路の記録の保管を一定期間義務付けることを含めた新制度の導入が提起されたそうです。

今後一層導入が進められると考えられるトレーサビリティシステムですが、問題はコストの増加を誰が負担するのかということと、牛などのように個体ごとに ID管理ができない食品に対し、どのようなシステム構築を行うかです。また、現在システムが導入されている牛肉においても、生産履歴情報として消費者が求めていることに応えているのか、店頭に検索機器が設置されていない場合商品の購入前に情報を検索することができないといったことも見直す必要があります。

トレーサビリティシステムによせる期待は年々高まっています。しかし、多くの課題があるのもの事実です。私たち一人一人が、食品の安全へ向けた動きに対し意見を言い合えるようになるためにも、まず牛肉の生産履歴情報を検索してみませんか?

youtube