リアルタイムPCR検査から見たPCV2(サーコ2型)と PRRSの関係
サーコワクチンが販売になって約2年が経過しようとしています。
全国的にこのワクチンの使用が浸透したこともあり、生産成績の改善に繋がってきていると思います。
しかし、その中でいまいち事故率の減少や成績の向上に繋がっていない農場も存在しています。それは何故なのでしょうか?。
飼養管理面の不備、不用意なワクチンや薬剤、資材の使用中止など、考えられる要因は多々あると思いますが、今回は今の養豚業界でいまだに抜本的な解決には至っていないPRRSとPCV2との関係性について考えていきたいと思います。
下記は弊社で検査させて戴いている農場のPCV2ウイルスとPRRSウイルスとの関係性をリアルタイムPCR検査を用いて比較したグラフになります。
リアルタイムPCR検査について。
微量なDNAから目的遺伝子の一部分を増幅させるという原理は従来のPCRと同じですが、検出方法が異なるためリアルタイムPCRは従来のPCRに比べてより迅速に、より微量な目的遺伝子の検出および定量ができます。
PCV2-リアルタイムPCRとPRRS-リアルタイムPCRの検査例
A農場:自家育成を行っている約600頭一貫の農場。2008年秋季からPCV2ワクチンを接種。
しかし、事故率が20%から15%と改善がいまひとつでした。
下記はワクチン接種前のPCV2とPRRSの血清中ウイルス量をリアルタイムPCRで検査したものです。
PRRSPCVグラフ PRRSも高く推移しているため、PCV2だけ抑えても顕著な改善が見られないことが推察されます。
この農場はサーコワクチンを使用していますが大きな事故の軽減には繋がっていませんでした。その原因は何なのかを探る中で注目したのがPRRSでした。
弊社で行った別農場の検査結果(サーコワクチンの改善効果が著しい農場のPCV2-リアルタイムPCRとPRRS-リアルタイムPCRの検査)と比較しても著しくPRRSウイルスの汚染度(ウイルス血症)が高かったのです。
今回は1つの農場事例をご紹介しましたが、このような状態で生産成績が落ち込んでいたり、いまいちの改善効果で悩んでいる農場は多いのではないかと思います。
今日の畜産業界の荒波を超えていくためには生産成績の底上げが重要になるのは言うまでもありません。
事実を先延ばしにして被害を大きくしないためにもぜひ調査(検査)を行うことをお薦めします。