PPE(回腸炎)の水面下の侵攻

サーコウイルスやPRRS、App(ヘモフィルス)など、大きく目立つ疾病が多い中で着実にその勢力を伸ばしている存在がいます。それはローソニア・イントラセルラリスが関与する下痢症、PPEです。

PPEには急性型(PHE)と慢性型(PIA)が存在します。急性型は被害も大きく比較的解りやすい状態にありますが、慢性型はそうでもありません。

大それた被害を起こすわけではなく、ただなんとなく軟便や下痢が続いたり、発育が悪そうだなとか、出荷が遅いなとか、要求率が悪化しているなとか思い当たる農場は注意した方が良いかもしれません。

気が付かないだけでかなり経済効率が悪くなっている危険があります。

PPEは農場での被害状況を把握して的確に対応をすればそれほど怖い疾病ではありません。

 

下記にその特徴や対応を示しますので参考にしてみて下さい。

回腸炎(PIA、PHE)の特徴

   PIA慢性型は離乳後~出荷までの軟便に関与し、血便は認めない。

   PHE急性型は4ヶ月齢以降に蒼白を伴う突然死、急性の血便が見られる。

   妊娠豚が流産する場合もある。

   初産母豚を含む若齢豚の産生子豚に発生が多い。

   クロストリジウム、ブラキスピラ・ピロシコリ、コクシジウム、大腸菌等との混合感染で重篤化しやすい。

   混合感染下では対応薬剤の組み合わせに工夫が必要。

   慢性型(PIA)は高い保菌率、急性型(PHE)高い更新率により発生が高くなりやすい。

 

回腸炎(PIA、PHE)の発病と対応のポイント

    白色品種に発生が多い。(ランドレース、大ヨーク、 LW、WL、ハイブリット)

   高生産能力種豚は体力の損耗も高いため、特に栄養バランスが乱れやすく関与しやすい。

   機能性資材(ビタミン、ミネラル、アミノ酸、有機酸、オリゴ糖等)の活用も有効。

   薬剤の有効利用。 タイロシン、アイブロシン、エコノアプレミックス、プルモチルプレミックス、リンコマイシン、チアムリン等。

   混合感染下ではテトラサイクリン系薬剤、ペニシリン系薬剤、ST剤等を組み合わせる事も必要。

   過換気、過湿、結露の環境は発生を助長しやすい。

   床の濡れと汚れ、過度の細霧システム、給水器の不備も要チェック。

   感染しやすい時期と系統の把握は重要。

   更新計画の再確認。若産歴の子豚に好発傾向。

   成豚でも発病・死亡が発生。母子感染も成立。

   母豚の感染・保菌は哺乳子豚への垂直感染を促す。

 

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