「アミノ酸検査」と「遊離アミノ酸検査」の違い
◎ 前書き
食品の検査には似たような検査項目が多数あります。例えば、「アミノ酸検査」と「遊離アミノ酸検査」これは同じような検査名で、同じような物質を量っているのにもかかわらず、実際は違う検査で、出てくる数値も大きく異なることがあるという、一見すると理解しがたい検査項目になります。本コラムでは、この「アミノ酸検査」と「遊離アミノ酸検査」の違いについて説明します。
◎ そもそもアミノ酸とは?
そもそもアミノ酸は、体を構成する成分であるたんぱく質の分解物です。肉や魚など食べ物として体に入ったたんぱく質は、胃で分解されアミノ酸のような小さい物質となり腸で吸収されます。人や動物は体内に取り込まれたアミノ酸の組み合わせで再度たんぱく質(筋肉や髪など)を作り、生命活動を維持しています。よってアミノ酸は生きていくうえで非常に重要な成分であり、健康食品やサプリメントなど日常生活で触れる機会の多い成分です。
◎ 「アミノ酸検査」と「遊離アミノ酸検査」の違い
前述の通り、アミノ酸はたんぱく質の分解物になります。逆を言えば、たんぱく質は多数のアミノ酸が固まってできているもの(アミノ酸の塊)であると言えます。ここで、アミノ酸の量を知りたいと考えたときに、まだ分解される途中でたんぱく質から完全には離れていないアミノ酸(アミノ酸の塊となっているもの)と、完全にたんぱく質から個々に独立して離れているアミノ酸(遊離アミノ酸という)は、違う性質を持っているという問題が生じます。同じように量を量ろうとしてもそのままでは量る方法が無いのです。これに対して、2種類の考え方、検査方法があります。たんぱく質(アミノ酸の塊)になっているものの塊をほぐして個々のアミノ酸に分けてから総量を量る方法と、元々独立して含まれている遊離アミノ酸だけ取り出して量る方法です。当然、結果が違ってくることになります。前者のアミノ酸の塊を分けてから総量を量る方法を単に「アミノ酸検査」、元々独立して含まれている(遊離している)アミノ酸だけを量る方法を「遊離アミノ酸検査」とすることが一般的になっています。
◎ 「遊離アミノ酸検査」のメリット
単にアミノ酸の総含有量を知りたいという場合は、総量を量る「アミノ酸検査」を選択します。
では、「遊離アミノ酸」を量るメリットは何でしょうか?前述の通り、遊離アミノ酸は既に分解して分かれているアミノ酸の含有量ですので、サプリメントや健康食品など元々遊離状態のアミノ酸を配合している場合にはこちらの方がより正確な値が出ます。(配合量と表示値の比較など)また、アミノ酸の塊の状態では味を感じなくても、遊離したアミノ酸の状態だと舌にふれたときうまみを感じる物質(グルタミン酸など)も含まれているため、食味の比較(よりうまみ成分が多いのはどちらか?うまみ成分の構成など)を判断するためにも、遊離アミノ酸検査は有効です。
◎ 結論
1.「アミノ酸検査」・・(塊になっているものを分解した)アミノ酸総量の検査。
2.「遊離アミノ酸検査」・・最初から遊離しているアミノ酸の検査。
3.遊離アミノ酸検査のメリットはうまみ成分の比較ができることなど。
弊社では遊離アミノ酸など様々な栄養成分を検査可能です。
必要な検査内容に迷ったときなど検査の相談等もお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。