小麦中のデオキシニバレノールに係る基準値改訂

小麦に含まれるデオキシニバレノールについては、「小麦のデオキシニバレノールに 係る暫定的な基準値の設定について」(平成14年5月21日付け食発第0521002号)により、規格基準の設定までの間、行政上の指導指針として暫定的な基準値を1.1ppmと示していましたが、令和4年月1日から食品衛生法第13条第1項に基づき、穀類及び豆類の成分規格に、小麦についてデオキシニバレノールを1.0mg/kgを超えて含有するものであってはならない旨の成分規格が新たに設定されました。

《デオキシニバレノールについて》
デオキシニバレノールは穀類の赤かび病の病原菌であるFusarium graminearum(フザリウム・グラミネアラム)、Fusarium culmorum(フザリウム・クルモルム)などにより産生されるカビ毒の一種です。
国内では1940年から1950年代に赤かび病に感染した穀類がデオキシニバレノールを含むカビ毒に汚染され、これらの穀類の摂食に起因する食中毒事故が複数報告されています。
カビ毒とは、カビが作り出す代謝産物のうちで、人や動物に対して有害な作用を示す化学物質のことで、この化学物質を総称して「カビ毒」と呼んでいます。

《食品を汚染するカビ毒》
食品を汚染するカビ毒は現在、300種類以上のカビ毒が知られていますが、わが国で消費される農産物や食品を汚染する可能性がある主なカビ毒には、以下のようなものがあります。

農産物や食品を汚染する主なカビ毒

カビ毒 汚染が確認されている主な農作物や食品 カビ毒を産生する主なカビ
アフラトキシン類
(アフラトキシンB1,B2,G1,G2,M1,M2)
ナッツ類、穀物、乾燥果実、牛乳 Aspergillus flavus
Aspergillus parasiticus
オクラトキシンA 穀類、豆類、果実、コーヒー豆、カカオ Aspergillus ochraceus
Penicillium属
トリコテセン類
(デオキシニバレノール,ニバレノール,T-2トキシン,HT-2トキシンなど)
穀類 Fusarium属
パツリン りんご加工品 Penicillium expansum
ゼアラレノン 穀類 Fusarium属
フモニシン類
(フモニシンB1,B2,B3)
とうもろこし Fusarium属
ステリグマトシスチン 穀類 Aspergillus versicolor
シトリニン 穀類 Penicillium citrinum
ルテオスカイリン 穀類 Penicillium islandicum
麦角アルカロイド類 穀類 Claviceps属

カビによるカビ毒産生量は、環境条件・種類によって汚染する農産物や汚染する時期・作物中の部位などが異なります。

《デオキシニバレノールの汚染例》
麦類が開花期から登熟期にかけて長雨に合うと、穀粒に赤カビ病の病原菌であるフザリウム属(Fusarium)のかびが付着・増殖し、カビ毒の一種であるデオキシニバレノールを産生します。
デオキシニバレノールの汚染例は、日本を含む世界の温帯各地で、主に麦やトウモロコシでみられます。

《人に対する影響》
デオキシニバレノールに汚染された食品を一度に大量に食べた場合、いわゆる急性毒性として、嘔吐や食欲不振、消化管、リンパ組織への障害などがみられます。一方、急性毒性を示さない程度の量を長期間にわたって摂取する場合、慢性毒性として、体重減少や免疫系に影響があることがわかっています。

《カビ毒は家庭で予防できる?》

  • 食品にカビが生えているかどうかは肉眼で確認できる場合もありますが、カビ毒が含まれているかどうかは見た目ではわかりません。
  • カビそのものは加熱などにより死滅しますが、カビ毒の中には比較的熱に強く、通常の加工・調理では十分に減少しないものもあります。このため、一度カビ毒に汚染されてしまうと、食品からカビ毒を取り除くことは困難であり、食品を通して微量のカビ毒を摂取してしまう可能性があります。そのような可能性をできるだけ低くするために、農産物や食品にカビ毒を作るカビが発生しないよう適切に管理することが重要です。
  • 参考文献
    1.かびとかび毒についての基本的な情報:農林水産省
    2.色々なかび毒:農林水産省
    3.「かび毒(総アフラトキシン)のリスク評価」:内閣府 食品安全委員会
    4.「カビとカビ毒」

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