カンピロバクター属菌とは?
はじめに
私たちの生活に欠かせない「食」。笑顔で「食」を楽しむには安全であり安心できるものであることが必要不可欠です。
そこで今回は、食中毒の原因として最も多い“カンピロバクター属菌”についてお話ししようと思います。
カンピロバクター属菌とは
発育に3~15%の酸素を必要とする微好気性のグラム陰性、らせん状の桿菌です。ニワトリ、ウシ等の家禽や家畜をはじめ、ペット、野鳥、野生動物など多くの動物が保菌しています。
1913年にMacFadyeanとStockmanによって、流産したウシから初めて分離された菌にその形状と運動性からVibrio fetusと命名されたが、性状が異なることから新しい族とされました(Campylobacter fetus)。1970年代に下痢患者から本菌が検出され、ヒトに対する下痢原性が証明されました。その後、1978年において飲料水を介して約2,000人が感染した事例により、世界的に注目されるようになりました。
カンピロバクター属菌は、17菌種6亜種3生物型に分類されており、このうち、Campylobacter jejuniとCampylobacter coliが食中毒患者から分離される菌種の多くを占めています。
ヒトのカンピロバクター症
症状は、下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などであり、他の細菌性胃腸炎と酷似します。多くの患者は1週間程で治癒しますが、まれに感染性疾患であるギラン・バレー症候群を発症します。
また、Campylobacter fetusによる感染では、菌血症、髄膜炎、流産、胃腸炎などを引き起こします。
主な推定原因食品又は感染源として、生や加熱不十分な鶏肉、調理中の取り扱い不備による二次汚染等が挙げられています。カンピロバクター属菌は乾燥に弱い、通常の加熱調理で死滅するなどの特性を持っているため、食肉を十分に加熱調理すること、調理器具の清潔、乾燥に努めることがカンピロバクターによる食中毒の予防方法としてあります。
動物が感染することによる影響
<牛カンピロバクター症> 届出伝染病
Campylobacter fetusによって起こる疾病です。対象動物はウシとスイギュウであり、感染すると、不妊や流産などの繫殖障害を起こします。感染源は、汚染された雄牛による交配、汚染牛由来の精液の使用です。雄牛での病変はみられませんが、雌牛では子宮内膜炎がみられます。日本では、散発的に発生が認められています。
おわりに
このコラムを通して、科学が身近な存在になってくだされば幸いです。
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参考文献
1. 最新 畜産ハンドブック(講談社)
2. カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)
3. 腸管系細菌|細菌の検査 各論|神奈川県衛生研究所