食品の安全を守る!大腸菌群・糞便系大腸菌群(E.coli)の規格基準とは?
食品の安全性を評価する上で、微生物の検査は非常に重要です。
特に、大腸菌群や糞便系大腸菌群(E.coli)は、食品の衛生状態を示す指標として広く用いられています。
これらの規格基準を理解することは、食品の安全性を確保する上で不可欠です。
このコラムでは、大腸菌群や糞便系大腸菌群の規格基準についてご紹介します。
大腸菌群とは
大腸菌群は、食品衛生法において「グラム陰性、無芽胞の桿菌で、乳糖を分解して
酸とガスを産生する好気性あるいは通性嫌気性細菌」と定義されます。大腸菌群には主にエシェリキア属、エンテロバクター属、クレブシエラ属などの腸内細菌科に属する細菌のほか、土壌や河川などの自然界に分布する腸内細菌以外の細菌も一部含まれており、衛生指標菌とされています。
大腸菌群の規格基準が定められている食品
食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)」において、大腸菌群の規格基準が定められている食品は以下のとおりです。
食品名 | 基準値 |
---|---|
清涼飲料水 | 陰性 |
粉末清涼飲料 | 陰性 |
氷雪 | 陰性 |
氷菓 | 陰性 |
加熱食肉製品(包装後加熱殺菌) | 陰性 |
鯨肉製品 | 陰性 |
魚肉ねり製品(魚肉すり身を除く) | 陰性 |
冷凍ゆでだこ | 陰性 |
冷凍ゆでがに | 陰性 |
無加熱摂取冷凍食品 | 陰性 |
加熱後摂取冷凍食品(凍結直前加熱) | 陰性 |
生食用冷凍鮮魚介類 | 陰性 |
糞便系大腸菌群(E.coli)とは
大腸菌群のうち、EC培地を用いて44.5℃で培養を行った際に発育可能な菌群を糞便系大腸菌群と呼びます。糞便汚染の指標菌とされており、分類学上の大腸菌(Escherichia coli)とは異なるため、食品衛生法ではブロック体でE.coliと表記しています。
また、糞便系大腸菌群のうち、インドール産生能(I)、メチルレッド試験(M)、VP試験(Vi)、クエン酸利用能(C)の4つの試験(IMViC試験)で「++--」又は「-+--」のパターンを示すものは「大腸菌」とされています。
糞便系大腸菌群(E.coli)の規格基準が定められている食品
食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)」において、糞便系大腸菌群(E.coli)の規格基準が定められている食品は以下のとおりです。
食品名 | 基準値 |
---|---|
乾燥食肉製品 | 陰性 |
非加熱食肉製品 | 100/g以下 |
特定加熱食肉製品 | 100/g以下 |
加熱食肉製品(加熱殺菌後包装) | 陰性 |
生食用かき | 230/100 g以下 |
加熱後摂取冷凍食品(凍結直前加熱以外)※1 | 陰性 |
※1:ただし、小麦粉を主たる原材料とし、摂食前に加熱工程が必要な冷凍パン生地様食品については、E.coliが陰性であることを要しないとされています。
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