レジオネラ症の歴史とレジオネラ検査方法について

弊社では、多くのレジオネラ検査を行っています。
今回は、レジオネラ症の歴史と実際に行っている検査方法をご紹介させていただきます。
 

レジオネラ症とは

レジオネラ症は、1976年米国フィラデルフィアの在郷軍事会(The Legion)で集団肺炎として発生したことではじめて認知されました。
その後、レジオネラ症について、病原体のレジオネラ属菌は自然界の水系や土壌に広く存在すること、汚染されたエアロゾルの吸入や誤嚥などにより感染すること、冷却塔以外にも循環式浴槽や温泉、給水・給湯設備、水景施設(噴水等)、その他の人工的な設備・施設が感染源となることなどが明らかになっています。
これらのことから、レジオネラ症の特殊性は集団感染として発生する頻度が高いことに加え、人工環境中の水が感染源となることであります。したがって、レジオネラ症の発生を効果的に防止するためには、医療・保健分野の他、水利用・建築関連分野の関係者相互の理解と協力、ならびに行政等による正しい知識の普及・啓発が不可欠です。
 

レジオネラ属菌の検査法

1)濃縮~ろ過濃縮法~
検水500 mLを直径47 mm、孔径0.20~0.22 µmのメンブランフィルターを用いて吸引ろ過をします。
吸引ろ過後のメンブランフィルターを5 mLの滅菌精製水に浸し、ボルテックスミキサー等で1分間洗浄し、濃縮検水 (100倍濃縮)を使用します。
 
2)濃縮検水の前処理
前処理は、どちらか片方、または両方を実施、あるいは両方ともやらない(汚染が少ないとき)場合があります。
 
a)酸処理
酸処理液(0.2M HCl・KCl buffer pH2.2±0.2)と濃縮検水とを等量混合し、25℃(実際には室温)に5分間置きます。共存するレジオネラ属菌以外の微生物の量が多いと予想される場合には20分間処理します。
b)熱処理
濃縮検水1 mLを50℃、30分間加熱します。液量は1~2 mLとし、温度と時間を正確に管理します。加熱後はただちに室温程度にまで急冷します。ただし、氷冷はしてはいけません。
 
4)選択分離培養
熱処理した濃縮検水は、レジオネラ属菌分離用寒天培地1枚に100 µL塗抹します。酸処理した濃縮検水は、検出限界を合わせるため培地1枚に200 µL塗抹します。 
接種後、シャーレは裏返し、乾燥を防いで36±2℃で最長7日間培養します。
 
5)判定
培養7日目までにレジオネラ属菌と思われるコロニーを合計し、検水濃縮量と接種液量から試料100 mL当たりのレジオネラ属菌数(CFU/100 mL)を算出します。
レジオネラ属菌は、培養3日目で微小なコロニーを、5~7日目で直径約3~5 mmの灰白色で光沢のある湿潤コロニーを形成します。
培地上の出現コロニー数が10個以下の場合はすべてのコロニーを、それ以上の場合は培地1枚当たり10個以上釣菌し、区画したBCYEα寒天培地とL-システイン不含寒天培地の双方に画線培養します。このとき培地由来のL-システインの持ち込みを防ぐため、まずL-システイン不含寒天培地に、次いでBCYEα寒天培地に画線します。24~48時間培後、BCYEα寒天培地にのみ発育したグラム陰性桿菌をレジオネラ属菌とします。
 
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参考資料
レジオネラ症防止指針 第5版
 
過去レジオネラ関連コラム
>>【レジオネラ】レジオネラ菌の感染経路と予防方法を解説 | 食環境衛生研究所
>>レジオネラ属菌の濃縮法について | 食環境衛生研究所
 
 

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