【レジオネラ】レジオネラ菌の感染経路と予防方法を解説

レジオネラ属菌について

グラム陰性の好気性桿菌で、河川や湖水、温泉、土壌などの自然界に広く分布しています。生きた細胞内に寄生して増殖するという大きな特徴があり、環境中ではアメーバなどの原虫や藻類内で増殖し、共生関係を形成しています。レジオネラ症の場合には、肺に吸い込まれたレジオネラ属菌が肺胞マクロファージに感染・増殖し、肺炎を引き起こします。
レジオネラ属菌は現在までに約60菌種が報告されており、そのなかでもレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)は人に対する病原性が強く、レジオネラ症の代表的な菌種として知られています。
 

レジオネラ症について

レジオネラ症は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)の四類感染症に指定されており、診断を行った医師は届出を行う義務があります。
レジオネラ症の主な病型としては、重度の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎」と、インフルエンザ様の熱性疾患で自然に治癒する「ポンティアック熱」の2つの病型が知られています。「レジオネラ肺炎」は2-10日の潜伏期間の後に、発熱、悪寒、全身倦怠感、呼吸困難などの症状が見られ、まれに心筋炎などの症状が起こることもあります。また、中枢神経系の症状(意識障害、幻覚、手足が震えるなど)や、消化器系の症状(下痢、嘔吐など)が見られるのもレジオネラ肺炎の特徴です。致死率は5-10 %程度とされていますが、適切な抗菌薬治療が行われなかった場合には急速に症状が進行することがあり、致死率も上昇します。これに対し、「ポンティアック熱」は突然の発熱、悪寒、筋肉痛などの症状がみられますが、一過性のもので自然に治癒します。
 

レジオネラ症の感染源

主にレジオネラ属菌に汚染されたエアロゾルを吸入することによって感染し、人から人へ感染することはありません。冷却塔、循環式浴槽、温泉、給水・給湯設備などの施設設備が感染源になることが多く、超音波式加湿器や吸入器などを介した感染事例も報告されています。
 

レジオネラ症の防止対策

レジオネラ症の発生を未然に防ぐためには、水を利用する施設などにおいてレジオネラ属菌による汚染を減らすことが重要であり、主な対策として以下の4つが挙げられます。
 
①水の滞留を避け、施設設備を衛生的に保つことによりレジオネラ属菌の増殖・バイオフィルムの生成を防止する
②設備内に定着しているバイオフィルムなどを定期的に除去する
③エアロゾルの発生を防ぐ
④レジオネラ属菌により汚染されたエアロゾルが空調システムに侵入するのを防ぐ
 
また、浴槽や加湿器などはご家庭においてもレジオネラ症の感染源になるリスクがあります。定期的に清掃を行い、レジオネラ症の予防に努めましょう。
 
弊社ではレジオネラ属菌を含む浴槽水自主検査項目に対応しております。
ご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
>>レジオネラ属菌検査ページはこちら

 

youtube